中国メディアの環球網は19日、シンガポールメディアのザ・ストレーツ・タイムズの報道を引用し、「マレーシアが中国にレアアース(希土類)での協力を求めている」と伝えた。

ザ・ストレーツ・タイムズは18日、マレーシアが1兆リンギット(約31兆5000億円)近くに上る自国の鉱床開発を目指し、中国に対してレアアース加工技術の輸出を求めていると報道。一方で、中国政府は昨年12月からレアアースの抽出・分離技術の輸出を禁止しているとも伝えた。

同記事によると、マレーシア政府はチャン・リー・カン科学技術イノベーション相に、4月末に訪中してマレーシア国内のレアアース精錬所に投資してくれる企業を探すよう指示したことを明らかにした。チャン氏は「マレーシアがレアアースのサプライチェーンでより大きな役割を果たす機会を模索する」と述べたという。

同国政府関係者は昨年6月、国内に1600万トン以上のレアアースがあり、政府の評価額はおよそ8000億リンギット(約25兆円)だと明らかにした。一部の専門家は需要増に伴い、その価値がすぐに1兆リンギットを超えると見ている。

同記事は「多くの国がレアアース加工技術を有しているが、中国は17種類すべての生産能力を持つ唯一の国である。マレーシアの地下には17種類すべてのレアアースが埋蔵されており、他のいかなる国と協力してもすべてを精製することは難しい。中国がマレーシアに最も効果的な解決策を提供できる可能性がある」とする一方、「中国政府がマレーシアのために『例外』をつくるかどうかは、まだ見極める必要がある」とも指摘した。

商務部国際貿易経済合作研究院の周密(ジョウ・ミー)研究員は「この報道は、レアアースの加工・精製技術において中国が確かにリードしていること、また中国側と協力を促進したいというマレーシアの意向が、ある程度反映されたものだ」と解釈した上で、「自国の資源採掘やサプライチェーンレベルを効果的に引き上げたいという考えは理解できるが、協力は双方の具体的な規則や制度にかかわる問題になるため、マレーシア側は事前に詳細を把握した上で行動を模索すべき」と述べた。(翻訳・編集/北田)