[マドリード 6日 ロイター] - スペインのデータ保護当局AEPDは6日、米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン」に対し、個人情報保護の観点からリスクがあるとして、最長3カ月間の活動禁止を要請した。

ワールドコインは目の虹彩をスキャンするのと引き換えにデジタルIDと無料の仮想通貨を提供する。

AEPDはワールドコインに対し、直ちに個人情報の収集と、既に収集した情報の利用を中止するよう要請。情報提供が不十分、未成年者のデータを収集している、同意の撤回を許されないなど、複数の苦情が寄せられたことを明らかにした。

また、生体認証データの処理は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)によって特別に保護されており「そのセンシティブな性質に鑑みると、人々の権利に大きなリスクを及ぼす」と説明。一時的にワールドコインの活動を禁止する緊急措置は「取り返しのつかない損害」を避けるために正当化されるとした。

これに対してワールドコインは、AEPDが「EUの法律を迂回」した対応を採っており、「われわれの技術について不正確で誤解を招く苦情を拡散している」と反発した。

ワールドコインのウェブサイトによると、虹彩スキャンに登録した人の数は120カ国で400万人を超えた。しかしこのプロジェクトはアルゼンチンからドイツに至るまで、個人情報保護の活動団体から批判を浴びている。