[北京 21日 ロイター] - 中国政府が今週、消費者金融会社の規制強化を発表したことを受けて、アナリストの間では業界の再編が進むとの見方が浮上している。

同国の消費者金融産業は市場規模が約1200億ドル。銀行から融資を断られた出稼ぎ労働者などが高金利のローンを利用している。

国家金融監督管理総局は18日、金融リスクを抑制するため、消費者金融会社の規制強化を発表。住宅と自動車購入以外の消費者金融を提供する企業は、2014年の規制で義務付けられていた最低資本金3億元の3倍以上となる最低10億元(1億3900万ドル)の登録資本金を保有すること必要になる。

また、消費者金融会社の主要投資家は少なくとも50%以上の株式保有が求められる。従来の30%以上だった。

ロイターの調査によると、国内の消費者金融31社のうち、10社はこの資本要件を満たしていない。また、中国銀行協会の委託で消費者金融に関する年次報告書を作成している漢坤法律事務所によると、全体の約半数の企業には、この基準に該当するような大口投資家がいない。

中国銀行協会の昨年の報告書によると、国内の消費者金融会社は3億3800万人以上に1160億ドル相当の融資を行っている。2022年末時点の総資産は1230億ドルだった。

借り手の多くは大都市に移り住んだ出稼ぎ労働者やブルーカラー労働者。その多くは35歳以下の若年層だ。収入証明書や信用証明書の提出が難しく、旅費・医療費・教育費などが必要になっても銀行から融資を受けられない人が多い。

消費者金融の上限金利は24%。だが、隠れた処理手数料のため、予想以上の負担を強いられたと不満を漏らす人もいる。1回当たりの融資限度額は20万元(2万7781ドル)と規定されている。

<猶予期間を設定か>

アナリストによると、今回の規制強化は業界再編の引き金となり、競争力の低い企業が淘汰される一方、大手の金融会社やインターネット企業が市場に参入するとみられる。

ある業界団体のアナリストは「規制強化を受け、既存の消費者金融会社が資本注入や事業拡大を求める動きが相次ぐだろう」と指摘。

国内最大手はアリババ傘下の重慶螞蟻(アント)消費金融。登録資本金は230億元だ。

規制強化は来月発効するが、アナリストや業界幹部は国家金融監督管理総局が実施規則を準備するため、数カ月から1年の猶予期間が設けられると予想している。

同総局はスケジュールの詳細については後日発表するとしており、具体的な日程を示していない。