Kentaro Sugiyama

[東京 8日 ロイター] - 植田和男日銀総裁は8日、衆院決算行政監視委員会で総裁就任から1年を経た所感を問われ、昨年度は経済状況に恵まれて希望をある程度は叶えられたとし、今後は新しい枠組みのもとで経済状況の変化に適切に対応していきたいと語った。中谷一馬委員(立憲)への答弁。

植田総裁は、就任当時の金融政策は非常に技術的に難しい体系になっていると感じており、経済状況が許せばできる限り簡素化して分かりやすいものにしていきたいという心構えだった、と説明。幸い昨年度の経済状況はまあまあ良いものだったので、そうした希望をある程度叶えることができたと語った。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入の検討については、決済システム全体をより安定的・効率的なものとする視点が重要だと指摘。その上で、諸外国のCBDC導入に伴うメリット、デメリットは参考にしつつも、自国にとってのプラス・マイナスを最大のポイントとして決定していくと語った。

日銀の黒田東彦・前総裁は、日本でも少なくとも2026年頃には発行できるかどうか能否判断ができるという見方を示していたが、植田総裁は「必ずできているかと問われれば、それは今のところ何とも申し上げられない」と述べた。

総裁個人の考え方として「できるだけ早くとか遅れをとらないようにという観点よりも、正しい形で導入するのであれば、国民にとってプラスになる形でちゃんと導入したい」と強調した。