米中が金融安定へ協力深化、ショックに備え演習 イエレン長官表明
米中両国が金融安定を巡る問題で協力を深めていることが、米財務省当局者の話で分かった。写真は会談するイエレン米財務長官と中国人民銀行の行の潘功勝総裁。4月8日、北京で撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)
(ロイター)
[北京 8日 ロイター] - 中国を訪問中のイエレン米財務長官は8日、米中両国が金融安定を巡る問題で協力を深めていると表明した。大手銀行の破綻に対処する演習を最近実施したのに続き、金融ショックの模擬演習をさらに予定しているという。
4日間にわたる会談日程を終えたイエレン氏はまた、中国の銀行に対し、ロシアのウクライナ戦争を支援する取引推進は「重大な結果」につながると警告を発した。
同氏によると、金融安定を巡る演習は昨年発足した米中金融作業部会が策定した。
米財務省と中国人民銀行(中央銀行)の代表が率いるこの部会は直近では1月に北京で会合を開いている。
イエレン氏は記者会見で「軍事指導者が危機に際してホットラインを必要とするように、米国と中国の金融規制当局も、金融ストレスが国民や国際社会に多大な影響を及ぼす危機に発展するのを防ぐため、意思疎通が必要だ」と語った。
8日の潘功勝・人民銀総裁との会談でも金融安定に関する問題を協議した。
米当局者によると、新たな演習は4月か5月に行われる見通し。自然災害、銀行へのサイバー攻撃、新たなパンデミック(世界的大流行)など外部からの大きな衝撃で引き起こされる業務面の耐性リスクを対象とした演習と、気候変動リスクによる保険システムへの影響を対象とした演習を行う。
米当局者は演習が両国の規制当局間の対話ラインを確立し、国境を越えた波及などのリスクが生じ得る分野を特定する一助になると述べた。
人民銀からは今のところコメントを得られていない。