Mayu Sakoda

[東京 10日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは10日、総合スーパーのイトーヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業について、新規株式公開(IPO)を検討していく方針を決めた。低迷が続く同事業は、ファンドから売却を迫られるなど立て直しが課題となっていた。好調なコンビニエンス事業に経営資源を集中する態勢を整える。

セブン&アイは同日、「現実的に最速のタイミング」でIPO実現に向けた検討を開始すると発表した。同事業の一部持ち分は保持し続け、コンビニエンスストア事業との間で食品開発の協業を維持する。取締役会に提言を提出した同社の戦略委員会は、2026年のスーパー事業変革後にIPOで分離するよう計画の詳細策定を求めている。

井阪隆一社長は会見で「抜本的な変革の先にある、さらにスーパーストア事業の長期的な成長のための有力な選択肢の1つ」と説明。「よりいっそうコンビニエンスストア事業にフォーカスする構造となる」と述べた。日本、北米、グローバルのコンビニ事業を一体運営するため、経営体制の統合に取り組む方針を示した。

株式をどの程度持ち続けるかについては、イトーヨーカ堂をグループから離脱させることは考えていないとした。井阪社長はグループのプライベートブランドの好調な売り上げなどを挙げ、「コンビニ事業の発展のためにはスーパー事業における食のリソースは非常に重要」と強調。スーパー事業の「連結にはこだわらない、だけど(グループから)離脱はしない。どれぐらいの持ち分比率がシナジー(相乗効果)創出に必要か検討しているところ」と述べた。

国内外でコンビニ事業が好調なセブン&アイの経営を巡っては、物言う株主の米バリューアクト・キャピタル・マネジメントが23年、スーパー事業の売却や分離などを提案。セブン&アイは百貨店のそごう・西武の売却やアパレル事業の終了、イトーヨーカ堂の不採算店の撤退を進めている。

同社はこの日決算も公表し、25年2月期の連結営業利益が前年比2%増の5450億円になりそうだとした。IBESがまとめたアナリスト16人の予想平均値5509億円とほぼ同水準。国内外で展開するコンビニエンスストア「セブン─イレブン」事業を中心に増益を確保し、過去最高を目指す。

年間配当は1株当たり40円を計画(前年度実績は1対3の株式分割前で113円)。自社株買いは予定通り1000億円規模を実施する。

24年2月期通期の連結営業利益は、同5.5%増の5342億円と過去最高だった。コンビニ事業が国内外で堅調に推移。為替の円安もプラスに寄与した。スーパー事業も増収増益だった。