Hiroko Hamada

[東京 18日 ロイター] - 富国生命保険は2024年度の一般勘定資産運用計画で、為替をヘッジしないオープン外債を350億円積み増す方針だ。償還時に大幅な円高となっても十分な収益性が確保できる超長期のソブリン債を中心に積み増す。一方、ヘッジ付外債は23年度にすべて売却し、24年度は残高ゼロを維持する見込み。

一方、海外金利が高水準を維持していることから、外債優位の環境が続いているとして、円債の積極的な積み増しは控える方針も示した。

財務企画部長の森実潤也氏が16日、ロイターとのインタビューで述べた。

オープン外債は、23年度(見込みベース、以下同)は1600億円の増加となった。当初は投資を控える計画だったが、海外金利が想定よりも上昇したため、積み増しに変更。24年度は、引き続き海外金利が高水準にあるとして、350億円積み増す予定。

為替ヘッジ付外債は、ヘッジコストの高止まりを受けて23年度に1600億円を圧縮した。24年度は残高ゼロを維持する計画だという。

為替動向については、米国が利下げに向かう中で日銀の次の一手は利上げが想定されるため、方向性としては円高を見込んでいる。ただ、水準としては年度末1ドル=140円を想定しており、「多少為替が円高に進んでも、超長期債のソブリン債であれば十分収益性を確保できると判断した」(森実氏)という。米国の金融政策動向については、年度内4回の利下げを見込んでいる。

円貨建て公社債は、円金利の上昇に伴い積み増した結果、23年度には2900億円増加となった。超長期債を中心とした日本国債(ソブリン)が1900億円、クレジットが1000億円それぞれ増加した。一方、24年度はソブリンを300億円、クレジットを150億円、それぞれ減らす計画。

20―30年債利回りの平均が2%を超える水準まで上昇しないとポートフォリオの収益性の改善が見込めないとして、積極的な積み増しは控える。当面は利回りの低い銘柄を売却し、残存期間の長い銘柄に入れ替えるオペレーションにとどめる計画だ。

日銀の金融政策動向について森実氏は「マイナス金利解除後の次の一手を植田和男総裁は慎重に見極めていくのではないか」と話し、年度内1回の利上げを予想しているという。

エクイティ資産については、23年度は国内株が50億円圧縮、外国株が100

億円増加した。今年度は国内株を300億円、外国株を100億円増額する予定だ。内外ともに株式市場は堅調な推移となっているが、国内株について日経平均の株価収益率(PER)は過去の平均のレンジ内だとして、割高感が少ないという。好調な企業業績を背景に、株価はアップサイドを見込み、年度末の日経平均は4万3000円を想定している。

オルタナティブは、24年度は前年度と同様に200億円増加する方針。他のアセットクラスに比べて収益性が高く、パフォーマンスが市場動向に左右されにくいファンドを積み増す。

不動産も24年度は前年度と同水準の150億円を増額する予定。中長期にわたり安定した収益が期待できる物件や不動産ファンドへ投資する。

*24年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.50―1.30%(年度末1.00%)

日本国債20年物利回り 1.30―2.10%(同1.80%)

米10年債利回り    3.50─4.70%(同4.00%)

日経平均        35000─48000円(同43000円)

米ダウ         35000─48000ドル(同43000ドル)

ドル/円        130―157円(同140円)

ユーロ/円       140―170円(同151円)