Clark Mindock

[9日 ロイター] - 米環境保護局(EPA)が先月発表した化石燃料火力発電所からの温室効果ガス排出量の大幅削減を義務化する最終規則を巡り、共和党系の27州の司法長官や業界団体などが差し止めを求める複数の訴訟を、首都ワシントンの裁判所に提起した。

同規則は、既存の石炭火力発電所、新設の天然ガス発電所の多くに対して2032年までに排出量を90%減らすよう要求。各発電所は多額の費用を投じて排出量抑制技術を導入するか、閉鎖するかの選択を迫られる。

これに異議を唱える目的で、ウェストバージニア州とインディアナ州の司法長官が主導する25州が1件の訴訟、オハイオ州とカンザス州の司法長官がもう1件の訴訟、さらに電力業界や石炭業界の団体も別の訴訟をそれぞれ起こした。

ウェストバージニア州のモリシー司法長官は、この規則が実際にまだほとんど普及していない技術を前提にしており、大気浄化法の下で定められたEPAの権限を超越していると指摘。議会の承認なしで米国の送電網を劇的に変容させることになり、発電所の閉鎖で送電網への負担がさらに増すと強調した。

地方電力会社の団体は別途起こした訴訟で、同規則は「違法かつ非合理的で、達成不可能だ」と述べた。

法律専門家の話では、訴訟の主な争点は、発電所が二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術を導入すれば排出量削減が可能だというEPAの主張の妥当性になる見通し。

大気浄化法がEPAに求めているのは「十分に証明された」技術で達成できる基準を設定することで、EPAはCCSがその要件を満たしていると考えているが、反対派はCCSの技術は依然として全米の発電所に導入される段階に至っていないと主張している。