[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日、金利据え置きを決めた5月理事会(6─7日開催)の議事要旨を公表した。国内経済指標の上振れやインフレリスクの上昇を踏まえ、利上げも検討していたことが分かった。

しかし、消費の伸びが低迷し、インフレ率が2025年終盤に目標の2─3%に低下する方向で引き続き緩やかになるとした中銀エコノミスト予測を考慮し、据え置きの方が適切と判断。インフレ予測が楽観的過ぎると判明した場合は利上げが必要になる可能性があるとした。

理事会は政策金利が年内変更されないシナリオを中心とした中銀エコノミスト予測について、リスクは均衡しており「妥当」と判断した。

議事要旨は「重要なのはインフレ期待が十分に固定されたままだったことだ」と指摘。「経済見通しに関する不確実性が通常より高い水準にあることも考慮し、理事会メンバーは過度の微調整を避けるため、短期的なインフレ動向を注視することが引き続き適切と判断した」という。

インフレ率の目標回帰が26年以降にずれ込むことへの許容度が限られていることも分かった。予測の根底にある判断が「楽観的過ぎる」恐れがある場合、再び利上げする可能性があるとした。

労働市場が堅調であることから、個人消費がやや急速に上向く可能性があるほか、公的需要や企業投資の伸びが加速し、インフレ率の目標回帰が遅れる可能性があるとも指摘した。

ANZの豪経済責任者アダム・ボイトン氏は今回の議事要旨について「理事会後の声明よりややタカ派的な色合いが強い」と述べた。ただ、引き締めを再開するためには、インフレ率が今後数年で目標レンジに戻る可能性は低いと判断する必要があると指摘。豪中銀が最後に利上げした昨年11月より「行動するハードルは高い」と述べた。