電気通信大学、近畿大学、成蹊大、労働安全衛生総合研究所を中心とした研究グループは、脚立からの墜落・転落災害防止のための学習ツールとして「脚立の安全な使い方ワークブック」を作成した。建設業などの現場作業者をターゲットに、脚立の設置時、昇降時、作業時に守るべきポイントを動画と練習問題、点検表を使って学べる内容となっている。労働災害防止のポイントには、「ステップと壁が平行になるように置く」「天板に立たない」「天板をまたがない」「脚立の上で体をひねらない」など19のチェック項目を設定した。

 作成に携わった近畿大学生物理工学部の島崎敢准教授は、「墜落・転落災害は脚立からのものが多数を占めているが、脚立は見ただけで使い方が分かるため、マニュアルや注意書きが読まれずに使用されている」と作成の背景を説明する。チェックリストを使った他人や自身の作業の評価・振り返りを通じ、自分の作業を客観視する「メタ認知能力」を高めることに活用できるという。

 作成した教材は令和3〜5年度に実施した厚生労働省科学研究費補助金による研究成果の一部で、PDFデータと教育用動画をホームページ(https://rentetsu.net/kyatatsu/)で公開している。