ドジャースの大谷翔平(29)が3日(日本時間4日)、本拠地で行われたジャイアンツ戦で放った移籍第1号の記念ボールの扱いが大騒動に発展している。ゲットしたドジャースファン女性のアンバー・ローマンさん(28)がサイン入りの帽子2個、ボール、バットと引き換えに大谷に戻したが、当人が球団から圧力を受けるなど酷い対応を受け大谷との面会を拒否されたたことを暴露。大谷が「ファンの人を話をして」と発言していたこともあり、SNS上や一部の米メディアが「大谷が嘘をついた」と批判し。一方で「いや何も嘘をついていない」「記者の拡大解釈だ」などの反対意見が飛び交う“大論争”騒ぎとなっている。

 記念ボールを拾った女性ファンは大谷とは会えなかった

 大谷の移籍第1号の記念ボールの扱いを巡る問題が大騒動に発展した。
発端は大谷が試合後にサイン入りの帽子2個、バット、ボールとの交換で記念ボールが手元に戻ったことを明かし「ファンの人と話して、いただけるということだった。僕にとってはすごく特別なボールなので、本当にありがたいなと思います」と発言したこと。正確には「『私は』ファンの人と話して」とは語っておらず、「『球団のスタッフが』ファンの人と話して」という意味だったのだろうが、明らかな言葉足らずの部分があり、これを受けて米スポーツサイト「ジ・アスレチック」のサム・ブラム記者が、「大谷選手はホームランボールをボール1個、キャップ2個、バットと交換したと語った。ファンにも会えた。 そのボールはかなりの価値がある。いい取引ですか?」とXに投稿した。だが、記念ボールを拾ったローマンさんが「大谷選手に会っていない」と投稿したことで、話がややこしくなり、ブラム記者が、ローマンさんを取材すると、とんでもない事実が明らかになった。
ローマンさんは、警備員に取り囲まれ、夫のバレンズエラさんとも引き離されて別室に連れていかれ、プレッシャーをかけられた中で帽子2個。バット、ボールとの交換を強要されたというのだ。しかも最初は帽子2個だけで、もしボールを交換しない場合は、それが本物であるという球団の公式認証を拒否するという球団の姿勢も伝えられた。ローマンさんはせめて大谷に会いたいと求めたが「無理だ」と拒否されたという。
ブラム記者は、「大谷選手は(通訳のウィル・アイアトン氏を介して)ボールをキャッチしたファンと会ったと語った。『ファンと話をして取り戻すことができた』だが、大谷はファンに会ったことはなかった」と投稿。一気にSNSでは「大谷が嘘をついた」「大谷は嫌われものになりつつある」などとの大谷バッシングが相次いだ。
専属通訳だった水原一平氏が解雇された問題で大谷が違法賭博で作った借金を口座から無断で盗まれたと語った“賭博スキャンダル“もいまだに尾を引き、まだ疑念が残っていることも重なった。
米サイト「バースツールスポーツ」は、「大谷はドジャースで初めてホームランボールをキャッチした女性ファンと会ったとマスコミに嘘をついたようだ」と厳しい論調の記事を掲載。
今回の問題が起きた背景に2つの仮設を立てた。
①「翔平は翻訳者を雇うのが下手だ。彼らは常に彼を最悪の立場に置き、彼が言う言葉に耳を傾けない。彼らが同じ考えを持ったことは一度もない。翔平は空が青いと言い彼らは紫と言う」
②「翔平は病的な嘘つきであり、彼が語る物語を信用することはでできない」
ブラム記者がさらに「厳密には(通訳の)アイアトン氏による大谷選手のコメントの解釈に基づいている点に注意することが重要だ。アイアトン氏と大谷の間で何かが通訳の際に失われた可能性がある。今日早朝にドジャースに連絡を取ったが、彼らは追加情報を提供しなかった」と投稿すると、「もう一人通訳を解雇する時期だ」とのリアクションも多く見られた。
だが、一方で「大谷は何も嘘をついていない」「拡大解釈した記者の誤報だ」「日本語を理解できない記者が間違った」「すぐに記事を削除し訂正すべき」という大谷擁護、大谷のコメントを拡大解釈したブラム記者を非難する声もSNSでは多く見られた。
「そもそも嘘をついてもなんのメリットもないどころかマイナスなのに、なぜこんなわかりきった事で、ここまで拡散されて、大谷選手は叩かれているのだろう」という客観的な意見もあった。

 その中で、日本語が堪能なロサンゼルスタイムズのダイアン・ヘルナンデス記者が、こう“炎上騒ぎ”を解説した。
「誤解のないように言っておくと、混乱の責任はウィル・アイアトン氏にはない。厳密に言えば、大谷氏は自分がファンに話しかけた人物だとは言っていないが、あたかもそうであるかのように話したのだ。大谷は嘘はついていない。ただハッキリしなかっただけだ」
そして「⓵サム(ブラム記者)はオオタニを嘘つきとは呼ばなかった。 ② 公平を期すために言うと、私もオオタニがファンに直接話しかけたという印象を受けた。日本のメディアのほとんどもそうだったと思う」とも付け加えて非難されているブラム記者を援護した。
その後のローマンさんの告白などがなければ、大谷は決して嘘をついてはいないが、「球団スタッフ」あるいは「警備員」という主語をはぶいたことで、大谷がローマンさんと直接対面して、お礼を述べて交換品を手渡したと受けとられても仕方がなかったのかもしれない。
ロサンゼルスタイムズ紙は、コラム記事で「その場にいた日本語のできる記者のほとんどは、ローマンさんと直接話したと思っていた。だが、彼は『私』という言葉を一度も使わなかったので、おそらく(ファンと話をしたのは)ドジャースの警備チームのことを言っているのだろう。いずれにせよ(賭博問題で)厳しい監視下に置かれているプレイヤーなのだから、真実についてもっと明確にしていれば、今回の騒動を避けられたかもしれない。またしても疑わしい動きだった」と、バサッと斬って捨てた。
ローマンさんの夫のであるバレンズエラさんは、同紙の取材に対してこう答えている。
「私たちは何百万ドルも要求していなかったし、スターだった彼に会いたかった。しかし、チャンスはなかった」
ドジャースは、ローマンさん夫婦を改めて球場に招待し、新たな記念品を贈り、大谷と対面する機会を作るという。