中日が5連敗で3位に後退した。23日に茨城のひたちなか市民球場で行われた巨人戦に0−2で完封負け。23イニング連続無得点となり、13試合連続本塁打無しは、中日では1956年以来68年ぶりのワーストタイ記録となった。なせ中日は勢いを失ったのか。このままズルズルと後退してしまうのか。

 やはり春の珍事だったのか。
8年ぶりの単独首位に立ち、10勝に一番乗りしていた立浪竜が巨人に敗れて5連敗。貯金は風前の灯の「1」となった。今季早くも4試合目の完封負け。20日の阪神戦の2回に得点して以来、ゼロ行進は、ついに23イニングまで伸び、本塁打も6日に細川が放った3号以来、13試合出ていない。
現役時代に打撃タイトルの獲得経験のあるセ・リーグのOBは、「中田が入りメンバーが変わったことで打線に得点力は出てきたが、そこは計算が立たないもの。やはり中日は投手力がストロングポイント。守り勝たねばならないチームなのにミスが多すぎる」と指摘した。
小笠原は、その立ち上がりに一死からオコエにレフト前へヒットを打たれた。レフトの細川の定位置から、やや左への打球だったがチャージがなかったためオコエは二塁を狙い、おまけに細川の送球は大きくそれた。細川は最低限の仕事ができていなかった。続く坂本のレフト前タイムリーで先制点を失ったが、守りで防げた1点である。
そして4回には一死から岡本がレフトとショートの間に高々と打ち上げた打球をショートの山本が落球した。慣れない地方球場で、風が強く舞い、雨も降っていたが、言い訳にならないミス。小笠原は二死をとったが、萩尾にレフト前タイムリーを許した。
立浪監督は「ビジターで先に点を与えないこと」を今季のテーマの一つに掲げていた。昨年は、ビジターのゲームで先取点を許すケースが目立ち、投手陣にプレッシャーがかかり、せっかくの投手力を生かしきれなかった。首位に立った際には、そのテーマを守れていたが、守りの乱れから、また昨季の悪夢が繰り返されることになっている。
打線は沈黙したが、まったく何もできなかったわけではない。
4回には先頭の三好が二塁打で出塁。続く田中が送り一死三塁のチャンスを作り、クリーンナップにつなげた。だが、続くカリステはショートゴロに倒れた。巨人の守備隊形はバックホーム。三塁走者の三好はスタートを切らなかった。
前出のセ・リーグOBは「次は4番の中田、巨人も前進守備。セオリーでは三塁走者は無理をする場面ではない。だが、点が取れていないチーム状況を考えると、ゴロゴー、あるいはギャンブルスタートを切らせてもよかったのでは。地方球場で内野は土のグラウンドだった。固かったそうだが、転がれば何か起きるかわからないというアドバンテージもあった。実際、カリステのゴロを捕球する際に門脇は体勢を崩していた。ベンチワークに思い切りが必要だったのではないか」との見解を示した。
続く4番の中田も追い込まれてから軽打に切り替えたが、アウトコースのボール球に手を出して続けてショートゴロに倒れた。
また5回にも、先頭の細川がレフト前ヒットで出塁したが、続く岡林が初球に手を出してセンターフライに終わり走者を進めることができなかった。前出のOBは、「こういうところがあまりにも雑。ヒットが出なくとも、やるべきことをやっていない点が問題」と批判した。
そもそもは開幕投手である柳が18日のヤクルト戦で9安打、5四球の大乱調で6失点したゲームが連敗のスタートだった。

 翌19日の阪神戦でもメヒアが5安打3四死球で4失点して0−7で敗れた。2人は共に中5日登板だった。今週が金曜日にゲームのない変則日程で、そのままGWに突入するためのローテー再編だったが、その一方で19日の阪神戦では中田、田中のキーマン2人をスタメンから外して休養させている。
前出のOBは「本人の意向を尊重したのかもしれないが、明らかに柳、メヒアには中5日登板の影響が出ていた。開幕から投手がリズムに乗ってくる時期だけに調整には万全の配慮が必要だったと思う。ここで無理をさせる必要はなかった。先発2人を中6日から中5日に変える一方で、中田、田中は休ませた。長いシーズンを考えた起用は支持したいが、チグハグで奇妙なベンチワークに感じた。連敗を招いた要因だと思う」と厳しい意見を述べる。
結局、阪神に3タテを許し巨人戦でも連敗を止めることができなかった。
では中日はここからズルズル後退してしまうのか。
前出のOBは「中日の投手力は阪神に次ぐ質と層がある。トータルで見るとこういうチームは落ちない。ミスをなくし、タイムリーや本塁打がなくとも点を取るしたたかな野球ができれば、開幕時の勢いを取りもどす可能性があると思う。特に今年のセ・リーグは混戦。なおさら、阪神、中日のような投手力のあるチームが生き残るだろう」と予想している。
スポーツ各紙の報道によると、立浪監督は、「今いるメンバーで戦う。我慢して戦っていきたい」と、しっかりと前を向いてコメントしている。