ドジャースの大谷翔平(29)が28日(日本時間29日)、敵地のトロントで行われたブルージェイズ戦に「2番・DH」で出場したが、4打数ノーヒットに終わり、チームは1−3で敗れ連勝が「6」でストップした。2点を追う8回無死二、三塁の場面で勝負を挑まれ二飛に倒れた。3試合すべてに大ブーイングの洗礼を浴びたが、ロサンゼルスタイムズ紙の記者は、地元トロントにある「ホッケー殿堂博物館」で、大谷が出入り禁止になっているとの情報を伝えた。今季のトロントでの試合は、これで終了となっており、大谷が同博物館を訪れる機会はないだろうが、オフのFA交渉、恋人にふられた地元の恨みは相当根強いようである。

 トロントでの第3戦は4打数ノーヒットに終わる

 大谷への大ブーイングは3連戦の最後まで止まなかった。
初戦に7号ソロ、第2戦には花巻東高の先輩、菊池雄星から自己最速&今季メジャー最速となる打球速度119.2マイル(約191.8キロ)のライト前タイムリーを放ち、連勝を果たしていただけに、いっそう、ふられた恋人への憎しみが増大したのかもしれない。
だが、この日の大谷は、そのブーイングに打ち勝つことはできなかった。
1回一死走者無しの第1打席は、センターへの大飛球を放ったが、フェンスにぶつかりながら好捕された。先頭打者で迎えた4回はセカンドライナー。6回一死走者無しの第3打席ではフルカウントからケビン・ガースマンがインローの投じた155キロのストレートを見逃して三振。大谷は判定に不服そうに首を何度かふってベンチに下がったが、コンピューター映像では、ストライクゾーンをかすっていた。
そして最大のハイライトは、2点を追う8回無死二、三塁での第4打席だった。一塁が空いていたが、ブルージェイズベンチは勝負を選び、大谷は、2番手右腕、イミ・ガルシアの2球目の高めのツーシームに手を出してセカンドフライに倒れたのである。一死となってブルージェイズベンチは、本塁打を打たれていた次のフレディ・フリーマンを申告敬遠した。結局、ドジャースは、この回も無得点に終わったが、大谷にとっては屈辱的な凡退で場内は歓声に包まれていた。
ロサンゼルスタイムズ紙のジャック・ハリス記者は、気になる情報をXに投稿した。
「ホッケー殿堂博物館からこんにちは。レジ係に“大谷翔平はトロント・ブルージェイズとサインしなかったから入場できない”と告げられた」
トロントにある「ホッケー殿堂博物館」から大谷が出禁を食らっているという衝撃情報だ。
同記者は、ホッケー殿堂博物館の入場口の写真を添付。その入場スペースの壁には、出入り禁止と思われる複数の人物の写真が貼られ、その一番下にドジャースのユニホーム姿の大谷のバストアップの写真が貼り付けられていた。ジョークか、本気かは不明だが、それほどトロントのファンの恨みは根強いのだろう。
カナダのトロントではプロアイスホッケーのNHLが大人気。ホッケー殿堂博物館は、1943年に創設された歴史ある殿堂で、1993年に現在の街の中心部に移動した。歴代の殿堂選手の紹介と共に体験コーナーなどもある人気観光スポット。ちなみに入場料は大人18ドル(2790円)。遠征先で外出することが少ない大谷が、同殿堂博物館を訪れるかどうかも微妙で、今季のトロントでの試合も、これで最後だが、ジョークにしてはやりすぎの感もある。
同投稿には「ジョークでしょう?」「泥棒などの犯罪を犯した出入り禁止の人たちの写真に大谷の写真を並べるのは失礼でしょう」などの様々な返信ポストがなされていた。

 昨年12月。大谷のFA交渉が大詰めを迎えていた際に、本命視されていたドジャース情報に詳しいサイト「ドジャースネーション」によって「大谷がブルージェイズと契約する」との情報が報じられ、敏腕記者として知られるジョン・モロシ氏が「トロント行きの飛行機に乗った」との怪情報を伝えたことで、一部のファンはカリフォルニアからトロントへ飛ぶプライベートジェット機があることを発見。その飛行経路をネット上で追跡する騒ぎとなった。ブルージェイズに所属している菊池が大谷の入団を祝うためにトロントの寿司店を貸し切り、50人前の寿司を予約したとの怪情報まで流れた。
実際、ジョン・シュナイダー監督らは、フロリダの施設で大谷と面談していたため、ブルージェイズファンの期待は高まったが、翌日に大谷は、自身のインスタで、ドジャースと10年7億ドル(約1085億円)で契約を結んだことを発表した。それだけに地元ファンの落胆は激しく、今回の大谷のトロント登場に大ブーイングを浴びせかけた。
ドジャース専門メディアの「ドジャース・ウェイ」も、この「大谷がホッケー殿堂博物館から出入り禁止」の投稿を取り上げ、「トロント行きの飛行機に乗ったという誤報は、大谷のせいではなく、すべての状況は本当に恥ずかしいジャーナリズムの不正行為の結果だったが、それでもブルージェイズのファンは、ロジャーズ・センターでの彼の最初の試合でブーイングの雨を降らせることを止めなかったし、彼がホッケー殿堂の施設から出入り禁止措置を受けることを止めなかった」と報じた。
そして同メディアは「大谷は(ブーイングに)第1打席で本塁打を放つという唯一の方法で応えた。50本塁打を打つペースの大谷にブーイングするつもりなら、噛まれても文句は言えない」と皮肉を交えて記事をまとめている。
大谷もブーイングに関して、「僕がブルージェイズのファンだったら普通にブーイングすると思います。それは野球の一環ですし、ファンの人たちが楽しいのが一番。気にしてもらえるだけ、選手にとってはいいんじゃないかな」と語っており、ホッケー殿堂博物館の出入り禁止を不愉快に思うこともないだろう。
ドジャースは移動日無しでのロードが続き29日(日本時間30日)からダイヤモンドバックスとの3連戦を迎える。日本時間2日の第3戦には山本由伸が先発予定だ。