東京から移住してきた夫婦 その正体は?

岡山県北は、瀬戸内よりも少しだけ遅い春です。岡山県新庄村では「がいせん桜」の圧巻の桜のトンネルが、今まさに見ごろです。

この桜に湧く新庄村をさらに盛り上げようと、東京から移住してきた夫婦が「思わぬイベント」をこの日曜日(14日)に開催します。そのイベントとは?そして2人の職業とは?

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待ち焦がれた春を迎えた岡山県新庄村。どこまでも続く桜並木、「がいせん桜」です。鳥取との県境にある人口800人の小さな村です。

新庄村の自慢は、今から118年前に日露戦争の勝利を記念して植えられた、旧出雲街道の街並みを彩る133本の桜のトンネル、さらにはこしの強い特産の「ひめのもち」です。

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そんな新庄村に、コロナ禍をきっかけに東京から移住してきた夫婦がいます。

(妻・天満のどかさん)
「農業を勉強し始めて3年じゃないですか?」

(夫・関根龍一さん)
「ぐらいですね。うちらなりになんか分かったことで、植えてみようかなっていう。それの今、準備です」

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3年前、村の圃場管理などを行う「地域おこし協力隊」として移住してきた関根龍一さんと、津山市出身の妻・天満のどかさんです。

そんな2人の元々の職業は…。
(夫・関根龍一さん)
「仕事はプロレスラーをしています」

(妻・天満のどかさん)
「私もプロレスラーでした」

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「いやー!、バーーン」

18歳からプロレスの道に進んだ龍一さんは、「プロレスリングBASARA」に所属する現役プロレスラー。

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そしてのどかさんは2年前まで「東京女子プロレス」に所属していた元プロレスラーという、レスラー夫婦です。そんな2人が、なぜ新庄村で農業を始めることになったのでしょうか。

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(関根龍一さん)
「コロナ禍で試合数が減ったりなんなりで、色々将来について考えた時に、たまたま農家さんのところに行ったときに、なんか楽しいなと思って、農業やってみたいなって」

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すっかり新庄村の一員 レスラー夫婦が計画したイベントとは?

もともと、のどかさんの母親が新庄村で農地を借りていて、その手伝いをするうちに村と農業の魅力に触れたのが移住のきっかけとなりました。

今は、龍一さんはプロレスで県外の試合に参戦しながら、村では耕作放棄地の手入れやたい肥作りを、のどかさんは特産の「ひめのもち」の加工場の手伝いをしています。今では、村の一員としてすっかりなじんでいます。

(天満のどかさん)
「移住してもう丸2年経つくらい、そうですよね?」
(同僚)
「でしょうね(笑)」

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農作業や村での仕事の合間を縫って、村内の自宅でトレーニングに励む龍一さん。この日はのどかさんも、プロレスラーとして重要な首を鍛えるサポートをしていました。

そんな農業とプロレスの二足の草鞋を履く夫婦には、どうしても叶えたい夢がありました。それは…。

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(関根龍一さん)
「あいつらは、まだまだ何もできないって思われていると思うけど、唯一できるのは」

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(2人)
「プロレス!」

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(関根龍一さん)
「村が盛り上がるようにしていきたいということで、プロレス興行することにしました!」

2人が企画したのは、満開のがいせん桜とプロレスを一緒に楽しめる、その名も「がいせん桜プロレス」です。過疎・高齢化が進む新庄村で村の人たちは、農業を知らない2人を受け入れてくれました。だからこそ、恩返しとして多くの人に村を知ってもらいたい…。

資金面では行政と連携しました。2月から、「ひめのもち」や焼酎などの返礼品を受け取ることができる、ふるさと納税を活用した「ガバメントクラウドファンディング」を実施し、目標額の500万円を目指しました。

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(天満のどかさん)
「ちょうど半分くらい、261万円ほど」

(関根龍一さん)
「こんなにたくさん集まるってことは…」

(天満のどかさん)
「137人…それだけの方が新庄村の美味しいものをもらって」

(関根龍一さん)
「で、新庄村を知ってもらう、で興業ができるっていうのは本当にありがたいこと」

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人口800人の村は「プロレス」の話題で持ち切り!

目標額には到達しなかったものの、集まった寄付金で今月14日、屋外に特設リングを設置する「がいせん桜プロレス」を開催できるところまでこぎつけました。村の人たちも、初めてのイベントに期待を寄せています。

(住民)
「テレビではプロレスを見るけど、他に行って見たことないから、ぼくは今からその日はあけています」

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(住民)
「桜が咲いていい感じの時にプロレスを開催できるのは、新庄村ならではないかなと思います」

(住民)
「やっぱりプロレスの方が引っ越してこられたからこそ、できるんで」

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この日、2人が訪れたのは新庄村立新庄小中学校。雨天の場合でも試合ができる会場をと、確認と交渉に訪れました。

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(関根龍一さん)
「いいんですか、じゃ、貸してもらえる感じで?」

(校長)
「あぁ、いいですよ、だって、見る機会なんてないじゃないですか、生で」

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(新庄村立新庄小中学校 小林圓裕校長)
「村の人も子どもたちも見に来るんじゃけ、使ってもらえたら。子どもたちもいろんな機会があった方がいいし、田舎でそんなもの見ることないし、バーンってすごい音するが、飛んだりして、あんなの見たらびっくりすると思う」

開催に向け、村じゅうで盛り上がりを見せる「がいせん桜プロレス」。当日はあのアジャコングさんの名前も。

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龍一さんが所属するプロレスリングBASARA。そして、天満のどかさんが所属していた東京女子プロレスから合わせて20人以上が参戦します。

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(天満のどかさん)
「今やりたいことは今しなきゃっていうのは、すごくコロナ禍で感じたことだったので。。。自分たちがお世話になっている方にも99歳のおばあちゃんがいるんですよ」

(関根龍一さん)
「今、世話になっている人に、いま皆さん元気なんで、その人たちに恩返しというか」

「うちらは何もまだまだですけど、プロレスを見て元気になってっていうことをしたかったんですよ。村の人がそれを見て元気になって、うちらの団体の子たちも全部がこうブワーって大きくなってほしいな」

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普段は静かな県境の村。年に一度の満開の桜のもとで、今年はいつもとは一味も二味も違うにぎわいが間もなく訪れます。

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【観戦情報】
「がいせん桜プロレス」の会場は、14日(日)岡山県新庄村の「がいせん桜通り」にある駐車場に屋外特設リングを設置して行われます。

時間は午前11時半と午後2時からの2回です。観戦無料ですが、ゆったり観戦したい人のために有料指定席も設けられるということです。なお雨天の場合は、本編でも「交渉成立」したように、新庄小中学校での開催となります。

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