25日午前3時12分に宮古島市全域で発生した停電は、復旧まで8時間半を要した。台風や地震などの災害はないのに、午前中の慌ただしい時間帯に電気が使えず、市民生活は混乱した。小中学校では薄暗い教室内での授業を余儀なくされ、長期化を懸念した市民や観光客が食料品を求めて量販店に殺到した。

 座喜味一幸市長は「二度と原因不明の長時間停電とならないよう再発防止に努めてほしい」と沖縄電力に強く求めた。

 午前9時15分ごろ、多くの車両が行き交う市平良西里の交差点では、停電で消えた信号機に代わって宮古島署の警察官が交通整理を行った。早朝から市内複数カ所で警察官が道路に立ち、自動車を誘導した。

 午前10時20分ごろ、市立北小学校の校舎は授業中なのに薄暗い。教室では児童が窓から差し込む日光を頼りに教科書を読んでいた。亀川はるみ校長は「学習環境として良い状況とは言えないが、できる範囲で対応せざる得ない」と声を落とした。台湾地震に伴う津波警報が発表されたのも今月3日の出来事。「立て続けに緊急事態が発生し、災害時対応について考えさせられた」と語った。

 市内の量販店が休業する中、サンエーの宮古島シティと宮古オリタ食品館は自家発電で営業し、多くの人が詰め掛けた。午前10時40分ごろ、総菜コーナーやインスタントラーメンの棚はすでに品薄状態。60代の女性は「どれだけ停電が続くか分からない。取りあえず食べ物だけでも」と、慌ただしく買い物を済ませた。

 市役所は停電のタイミングで非常用電源に切り替わり、朝から市職員が最小限の照明で業務に当たったが、一部の業務ができなくなったという。職員はひっきりなしに鳴る市民からの電話対応に追われた。座喜味市長も自ら市民課の窓口を訪れ、対応可能な業務内容を担当者に確認した。

 停電が復旧したのは午前11時42分。座喜味市長は復旧後にコメントを発表し、市内の病院が外来受け付けを休止したことに触れ「医療ケアを必要とする市民にとって、停電などは生命の危機に直面する可能性がある」と述べ、「電力供給が市民の生命に直接関わっていることを再確認してほしい」と沖縄電力に再発防止を求めた。