桜の下で、「春雨」を披露する長崎検番の芸妓衆=小城市の小城公園

 江戸時代後期に端唄「春雨」を作詞した小城藩士・柴田花守(1809〜90年)をしのぶ「第61回小城春雨まつり」が6日、小城市のゆめぷらっと小城で開かれた。市内外から訪れた約170人が、長崎の芸妓衆(げいこし)によるあでやかな舞や歌を堪能した。

 「春雨にしっぽりぬるる鶯(うぐいす)の−」で始まる「春雨」は、長崎に遊学中だった柴田花守が1846年、丸山の料亭「花月」で作詞。春の情景や男女の感情の機微が歌われており、長崎検番の師匠らが節や振り付けをして全国に広まった。

 まつりに先立ち、「春雨の碑」がある小城公園で、芸妓衆が歌や三味線に合わせて舞を披露し、花見客らが足を止めて見入っていた。ゆめぷらっと小城では、「春雨」のほか、「ぶらぶら節」や「花の三番叟(さんばそう)」など7曲が披露された。

 春雨まつりは昨年、60周年の節目を迎えた。実行委員会会長の村岡安廣・小城商工会議所会頭は「風流を好む小城藩7万3千石の城下町であったことで、伝統が受け継がれてきた」とあいさつ。小城公園が県内で初めて明治政府の公園指定を受けており、2025年には指定150年になることにも触れ、地域の宝を次世代につなぐ大切さを強調した。(古川浩司)