大阪で「花月」といえば、お笑いの聖地。むかし、夏場の客は難儀させられたらしい。「すんまへん、今ちょっと冷房が故障だんねん」と、場内の扇風機を止めてしまう。〈売店のアイスクリームが全部売れてしまうまで故障が直らなんだ〉。往年の喜劇スター藤山寛美さんが語っている◆利にさとい、なにわ商人らしい笑い話だが、今ならひと騒動だろう。暑さはヒトを怒りっぽくする。熱帯や亜熱帯地域で年間の平均気温が1度上がると、DVが4・5%増える、とする中国の大学の研究もあるとか◆冬から一気に春が訪れ、ゴールデンウイークはもう夏の暑さ。それが11月あたりまで消え残る。四季を感じられない「異常」はもはや「普通」になりつつある。暑さの影響はヒトばかりではないようで、気温が上昇すると犬にかまれる頻度が増えた、という米国の調査もある◆さまざまに身を守るすべが求められるこのごろ。過去に例のない危険な暑さを示す「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まった。有明海と玄界灘に面し、比較的温順な県内に発表される可能性は低いかもしれない。それでも、軽い運動や入浴で暑さに慣れる「暑熱順化」を心掛けたい◆猛暑、大雨、地震…警戒警戒とおびえることばかりが増え続ける。この世はいったいどうなっとるのか。あ、いかん。頭に血がのぼる。(桑)