主演は伊原剛志さん 映画「ら・かんぱねら」クランクアップ 地域と共に歩んだ撮影の様子に密着【佐賀県】
有明海に浮かぶ船の上で響く「カット」の声。映画「ら・かんぱねら」はノリ漁師の徳永義昭さんが52歳で本格的にピアノを始め、難曲「ラ・カンパネラ」を弾けるようになるまでの実話を題材にしたフィクションです。
ロケ地はほとんどが佐賀市内。ノリ収穫などの撮影が去年9月下旬に始まり、3月17日、クランクインしました。
【映画「ら・かんぱねら」鈴木一美監督】
「クランクイン初日はちょっと雨模様の旅立ちになりますけれども、一致団結でつくっていきたいと思います」
【リポート・波佐間崇晃】
「これから重要なシーンの1つの撮影が始まります。きょうはエキストラおよそ100人が参加します」
【エキストラで参加した女の子】
「緊張するけど、エキストラで出させてもらうのがとてもうれしいです」
この日は主人公徳田時生を演じる伊原剛志さん。その妻、奈々子役の南果歩さん。
時生にピアノを譲る元ピアニスト役の大空眞弓さん、主要キャストそろい踏みです。
【助監督】
「そこの女の子3人、1席ずれて」
撮影期間中最多となる約100人のエキストラが参加しました。この映画には佐賀にゆかりのある人が多く起用されています。
今年2月、佐賀市内で開かれたオーディション。県内を中心に、東京都や福岡県などから2日間で約250人が参加しました。
老人ホームの介護職員の役を演じる佐賀市川副町出身で現在は東京都で活動する俳優、川崎瑠奈さん。スタッフとしても映画を支えています。
【佐賀市川副町出身の俳優 川崎瑠奈さん】
「どんな形であれ佐賀の映画に携わりたいと思っていたので、出演できることが格別な思いでいっぱいですし、このご縁をこれからも大切にしていきたいなと思いました」
川崎さんの役は重要な場面にも登場することになります。撮影は進み、この日はターニングポイントになるという場面。ピアノ教師、奈々子の教え子のピアノ発表会です。そこにやってきた主人公時生は…。
まだピアノに魅力を感じていない様子の時生。しかし、この場面で物語の鍵を握る”謎のピアニスト”と出会い、その後、ピアノに熱中していくことになります。そして迎えた最終日。最後の撮影は佐賀市川副町にある実際に使われているノリ小屋で行われました。
ピアノが用意された部屋は撮影用のセットとしてつくられたもの。伊原さんは撮影の合間もピアノの練習に余念がありません。
【主演 伊原剛志さん】
「ピアノをやったことが全くなかったから、手首が痛くなってきて。(練習を)1日6時間とかやっていましたから」
川崎さんにとっての最後の場面がやってきました。物語終盤。セリフはなく表情と雰囲気だけである重要なことを時生に伝えるシーンです。
裏方としても現場を支えた川崎さん。演技が終わると制作スタッフからサプライズで労いの花束が贈られました。主要キャスト以外では異例の対応です。そして…。
訪れたクランクアップの瞬間。約4週間にわたる撮影が終わり、主演の伊原さんは充実した表情を見せます。
【主演 伊原剛志さん】
「やりきったという感じですかね。(モデルとなった徳永さんが)みんなに支えられて助けられてやれたんだなというのは実感しました。やればやるほどラ・カンパネラ(を弾くのは)は難しい。難しか!」
【映画「ら・かんぱねら」鈴木一美監督】
「主人公が諦めきれずに弾けるようになった諦めない精神を映画を見て感じてもらえるようにしていきたい。佐賀の映画史に残るような、作品をつくっていきたいなと思っています」