『Bistro Rojiura(ビストロ ロジウラ)』は、その名の通り渋谷の路地裏にある。夜は本格フレンチが気軽に楽しめる人気店だが、朝も手作りにこだわったモーニングが味わえる。中でもフレンチトーストは、自家製のパンやベーコン、チーズも手作りで、さらにフレンチの技法を駆使してシェフが本気で作った贅沢な一品だ。

フレンチシェフが手掛ける路地裏のビストロ

渋谷駅から徒歩8分、センター街の喧騒を抜け、オルガン坂から無国籍通りを進んだ路地の奥に『Bistro Rojiura』がある。店の近くまで来ても迷ってしまいそう。やっとたどり着くと、店前はとても静かだ。

東急ハンズのオルガン坂側から無国籍通りに入ってすぐ左折した路地裏にある。
東急ハンズのオルガン坂側から無国籍通りに入ってすぐ左折した路地裏にある。
店に入ると、カウンターの奥にキッチンが見える。
店に入ると、カウンターの奥にキッチンが見える。

本格フレンチのビストロだが、カジュアルな雰囲気の入りやすい店構え。大きなガラス窓から日差しが降り注ぐ店内は、木のぬくもりを感じるインテリアが並び、席についたとたんほっと一息できる居心地のよさ。

カウンター7席、テーブル8席の計18席。木のテーブルや椅子などぬくもりあふれる店内。
カウンター7席、テーブル8席の計18席。木のテーブルや椅子などぬくもりあふれる店内。

2011年に開業した『Bistro Rojiura』は、世界で最も権威のあるグルメガイドに6年連続で掲載されてきた実力店だ。オーナーは白金や西新宿のフレンチの名店で修業を積んだ原太一さん。ほかにも代々木上原『PATH』、白金台『LIKE』など行列の絶えない人気店を手掛けている。

足踏みミシンをリメイクしたテーブル席も。
足踏みミシンをリメイクしたテーブル席も。

外はカリッ、中はふわっ。キャラメリゼ仕上げのフレンチトースト

モーニングは、2014年ころから、海外の朝ご飯ブームにヒントを得て始まったそう。自家製にこだわったモーニングメニューの中からイチオシの一品を、原さんの古くからの友人で、オープン当初からこの店を支えてきた諸藤悠里さんが教えてくれた。

諸藤さんが卵液たっぷりのパンを一面ずつ返しながらじっくり焼いていく。
諸藤さんが卵液たっぷりのパンを一面ずつ返しながらじっくり焼いていく。

諸藤さんが手際よく作り始めたのは、フレンチトースト 自家製ベーコンとブッラータチーズ1560円。卵液をまとったパンも、毎日朝早くから焼く自家製の食パンだ。

バターの香ばしい香りとともに、パンもだんだんいい色合いに。
バターの香ばしい香りとともに、パンもだんだんいい色合いに。
フライパンで焼いた後、オーブンでキャラメリゼ仕上げ。
フライパンで焼いた後、オーブンでキャラメリゼ仕上げ。

完成まで少し時間がかかるのは、手間隙かけて作るから。「キャラメリゼした色合いなど様子を見ながら作っています」と諸藤さん。仕上げにこんがり焼いた自家製のベーコンとブッラータチーズを添えて出来上がり。

フレンチトースト 自家製ベーコンとブッラータチーズ1560円。香ばしい匂いがたまらない!
フレンチトースト 自家製ベーコンとブッラータチーズ1560円。香ばしい匂いがたまらない!

焼き立ての香り立つフレンチトーストを、ナイフで一口切り分けて口の中へ。外側のキャラメリゼがカリッと音を立て、やわらかな中の生地がふわっとした口当たり。カリッふわっな異なるふたつの食感が心地よい。自家製ベーコンと一緒に食べると、塩味とほどよい甘みの絶妙なコンビネーション。

「ベーコンは、肉を漬け込んで干して燻製して、トータルで10日間くらいかかります。ベーコン推しのお客様も多いですね」。まろやかなブッラータチーズに、別添えのメープルシロップをかけると濃厚な味わいに。どこを食べても悶絶のおいしさで、すべてにこだわりぬいた、とっても贅沢なモーニングだ。

甘いもの好きなら、別添えのメープルシロップもどうぞ。
甘いもの好きなら、別添えのメープルシロップもどうぞ。

モーニングの〆は自家焙煎のコーヒー。自然派ワインのチョイスもあり

モーニングに合わせてコーヒーもオーダー。こちらは目黒の自家焙煎のコーヒーショップ『SWITCH COFFEE TOKYO』の豆を使用した、淹れ立てのブレンドコーヒー。爽やかな酸味で朝のお目覚にぴったりな一杯。

モーニングに合わせてコーヒー500円。店オリジナルの食器の落ち着いた質感も◎。
モーニングに合わせてコーヒー500円。店オリジナルの食器の落ち着いた質感も◎。

フレンチトーストと人気を二分する、あんバターリコッタチーズサンド660円に合わせるのもおすすめなコーヒーだ。ちなみにあんバターのコッペパンも、中のつぶ餡も、リコッタチーズも自家製というこだわりで、これを目当てに来る客もいるそう。日本的なあんバターだけど、意外と外国の方にも人気だとか。

自然派ワインが大きなワインセラーにずらりと並ぶ。
自然派ワインが大きなワインセラーにずらりと並ぶ。

これだけおいしく贅沢なモーニングを味わってしまったら、夜のディナーも気になるところ。メニューを見せていただくと、メインには和歌山のキンメのポワレ、紀州鴨のロースト、熊野牛のローストなど、いまモーニングを食べたばかりなのに、夜も来たい! と思ってしまう魅惑のラインナップ。ずらりと取り揃えた自然派ワインは、モーニングタイムもOKというから、フレンチトーストに合わせてみてもいいかも。

夜用のカンパーニュも毎日焼き立て。くるみを入れたりと日によって変わる夜のパンも魅力的。
夜用のカンパーニュも毎日焼き立て。くるみを入れたりと日によって変わる夜のパンも魅力的。
実は無類のパン好きという諸藤さん。左はディナーで腕を振るうシェフの内田さん。
実は無類のパン好きという諸藤さん。左はディナーで腕を振るうシェフの内田さん。

「出勤前にさくっとでもいいし、休日にはのんびり食べてもいいし、贅沢な朝ご飯を楽しんでいただければうれしいです」と諸藤さん。手間隙かけたこだわりがいっぱい詰まった魅惑のモーニングは、おいしいだけでなく、心まで豊かに満たしてくれる。

Bistro Rojiura(びすとろ ろじうら)
住所:東京都渋谷区宇田川町11-2 1F/営業時間:8:00〜13:00 LO・18:00〜22:00 LO/定休日:月・日/アクセス:JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩8分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=大熊美智代