著名人や投資家をかたった「SNS型投資詐欺」が多発する中、自民党の石破茂元幹事長(衆院鳥取1区)の画像を悪用した投資詐欺広告がネット上で広まっている。石破事務所の担当者は「特定の投資を勧めたり、宣伝したりすることは一切ない」として注意を呼びかける。

 石破事務所などによると、詐欺広告は、テレビの対談番組に出演した石破氏が、わずかな元手で大金をもうける投資法をうっかり漏らしてしまった、との設定。「人工知能を使って暗号資産を取引するプログラム」に約4万円を投資すると、3〜4カ月で約1億円の収益が得られるとの内容が書かれている。個人情報を登録するフォームに誘導されるという。

 石破事務所は3月中旬、詐欺広告を見た人からの問い合わせで事態を把握。フェイスブックの広告だったため、自民党本部を介して運営元の米IT大手メタに削除を要請した。

 一時削除されたものの、現在はフェイスブック以外にも同様の偽広告が散発的に表示されるときがあるという。事務所には「石破氏の支援になると思った」と実際に数万円を入金した人から報告があったほか、「本物ですか」と問い合わせがあるという。同事務所の担当者は「全て詐欺だ。とにかく入金しないでほしい」と呼びかける。

 島根県警によると、島根県内で、SNSで投資に勧誘する詐欺被害は増加傾向にある。1〜3月の認知件数は3件で、被害総額は4153万円だった。また、SNSで接触した相手に恋愛感情を抱かせ、金銭をだまし取るロマンス詐欺も増えており、1〜3月で4件確認され、被害総額は3699万円だった。

 県警生活安全企画課の大国智之次長は「特に振込先の口座名義が個人名の場合は詐欺の可能性が高い」と注意喚起している。