サメを食べたことがある人はいるだろうか。キャビアやフカヒレといったサメのある部位ではなく、サメの“身”を食べたことのある人の話である。YouTubeで変わった海産物を調理する様子を投稿している「激せま水産」さんが、サメを調理する様子を公開して話題だ。

豪快なサメ料理のお味は…


キャビア、フカヒレ…といった高級食材として有名なサメだが、その“身”を食べたことがある人はどれくらいいるだろうか。2月末、ニタリザメを豪快に食す様子がSNSでバズり、大きな注目を集めていた。

その投稿をしたのは、YouTubeで珍しい魚などを調理している“激せま水産”さん。東京台東区の御徒町駅前にある巨大なスーパーマーケット「吉池」で、なんと重さ約8キロのサメを丸々一匹、8000円で購入したという。


これが8kg 8000円のニタリザメ (写真提供/激せま水産)


激せま水産さんは自宅のキッチンで豪快にサメをさばいていくが、驚くべきはその出血量。キッチンはみるみるうちに血で染まっていき、その光景はまるでスプラッター映画のよう。内臓もドゥルッっとあふれ出てくるが、華麗な包丁さばきでそれらを処理し、可食部を切り分けていく。

YouTubeの動画内ではこのサメをムニエルにして、食していた激せま水産さん。今回のサメ料理について、気になる味のほうはどんなものだったのだろうか。


ニタリザメのムニエル (写真提供/激せま水産)


「基本的に鮮度の高いサメはクセがなく、言われるアンモニア臭もありません。ニタリザメも同様にクセはないのですが、他種のサメより酸味がある印象です。その後、冷凍して何日かに分けて食べていますが、そうすれば日にちを置いても臭みがでることはないようです」(激せま水産さん)

冷凍保存が可能とはいえ、8kgもあるサメ。いったい何日かけて食べきったのだろうか。

「数回食べても食べきれてなくて、まだ半分以上残っています。ちなみにムニエル以外では煮付けにして食べましたが、ご飯のおかずとしては煮付けのほうが合っていました」


ニタリザメの煮付け (写真提供/激せま水産)


冷凍庫を占領するサメ肉 (写真提供/激せま水産)


激せま水産さんは他にも、「オオグソクムシ」や「ニュウドウカジカ」「オオカミウオ」など珍しい海産物を扱ってYouTubeにアップしている。

また、サメシリーズとしては「ホシザメ」「カスザメ」「アブラツノザメの卵」などの料理も披露しているが、これらのサメ類はすべて、「吉池」で購入したものだそうだ。

アブラツノザメの卵 (写真提供/激せま水産)


サメの仕入れ状況について、変わった海産物を取り扱っているスーパー「吉池」の執行役員で鮮魚バイヤーの滝口学さんに話を聞いた。


まるでイクラ+ウニ? タコの卵も超絶品


「(市場に)あれば毎日とかでも仕入れているのですが、まるっと1匹の状態はなかなか珍しいですね。ふだんはもっと大きいのが多くて、そのまま売れるような大きさのものはなかなかありません。サメはほとんど豊洲から仕入れているのですが、豊洲でも毎日はでないです。切り身用のアブラツノザメとかネズミザメ(モウカザメ)は時期によってコンスタントにでますが…。(激せま水産さんが買った)ニタリザメはまだウチでも3回くらいしか入荷していません」


御徒町駅の名物スーパー「吉池」


こういった変わった海産物は主に誰が購入していくのだろうか。

「だいたいウチのX(@yoshiike_group)であげると、それを見た一般の人が、『取り置きしておいてくれ』と電話で問い合わせてくれたりします。業者の人よりも、一般の人が買っていくケースが多いですね」(滝口さん)

ちなみに取材日には、まるごとのサメはなかったが、「サメの心臓」なる品があった。


刺身で食べるサメの心臓

「サメの心臓は血抜きをすると刺身で食べることができます。血を抜くと臭みがなくて美味しいので、ごま油で揉んだり、生姜醬油で食べるのが美味しいですよ。結局はハツなので、炒めて食べるのももちろんいいです」(滝口さん)

吉池にはサメ以外にも変わった海産物が並んでいる。ヤツメウナギ、鬼シャコガイ、ヤガラなど。中でも今の季節のおすすめの変わった食材を聞くと…。


沖縄県産 ヒレナシシャコ貝


「ヤナギダコの卵とかが美味しいです。このまま中をあけて、つぶつぶをポン酢とかわさび醬油とかと刺身で食べられます」(滝口さん)

ヤナギダコの卵はイクラのような食感と、濃厚なタコの旨味が特徴で、味は若干ウニにも似ている。北海道では“たこまんま”という名前でも親しまれてファンも多く、イクラのように醤油漬けにして食べるのもメジャーな食べ方だ。


ヤナギダコの卵


サメの心臓やタコの卵など、日本で手軽に手にいれることができるのに、食べたことのない食べ物は意外と多いものだ。人生経験の一つとして挑戦してみると、新たな美食の扉が開けるかもしれない。


「吉池」1階の鮮魚売り場

取材・撮影・文/集英社オンライン編集部