ささいなことで落ち込んだり、逆に気分が高揚するのが人間の心というもの。こうした気持ちのムラは誰にでもあるものだが、あまり波が大きいと「気分屋」だと言われたり、仕事や学業、スポーツの取り組み方、結果、パフォーマンスに影響が出てしまう。

ただ、社会人ともなると「いい時はとことんいい。ダメな時はとことんダメ」という性質はあまり好ましいものではなく、コンスタントにいい仕事ができる人の方が信頼され、評価される。

だからこそ、自分の気持ちを整えたり、自分で自分の機嫌を取る力は大切だ。
『百年メンタル〜心の調子をキープする言葉の取扱説明書』(飯山晄朗著、大和書房刊)はそのための一冊だ。

◾️脳は思考より言葉を信用する

自分のメンタルをコントロールできるようになるために、まず知っておくべきは「思考よりも、言葉を信用する」という脳の性質だ。だから、マイナス思考を変えたいのなら、マイナスなことを考えないように努めるのではなく、マイナスな言葉を使わずプラスの言葉を使うことが大切。プラスな言葉を使えば、思考もプラスな方向に変わるのが脳の性質なのだ。

また、脳の記憶は上書きされるようにできている。これは、脳が記憶するのは「最後の言葉」ということ。つまり「やります。でも厳しいな」と言ったとしたら、脳は「厳しいな」を記憶してしまうのだ。

だから、最後にプラスの言葉を言うことが大事。ついマイナス言葉が口から出てしまったら、プラスの言葉を最後に添えるのがいい。

◾️自分やる気を引き出す言葉

では、プラスの言葉にはどんなものがあるのだろうか。
たとえば、やる気を維持したいのであれば「〜したい」を「〜する」に変えるのがおすすめ。というのも「〜したい」は願望を表すが、諦めのニュアンスが入っている。「〜したい。だけど…」という言い訳が隠れているのである。

また「とにかく前向きに頑張る」という言葉も変えた方がいいかもしれない。一見プラスの言葉だが、目標意識が抜けているからである。これを「自分なりのNO.1を目指す」と言い換えることで、日々の取り組みに明確な目標が加わることになる。

メンタルを変えるには言葉から。
プレッシャーに強いメンタル。
ここ一番に強いメンタル。
強い言葉を使ってくる相手に負けないメンタル。
言いにくいことでもはっきり言えるメンタル。
落ち込んだ気持ちを引きずらないメンタル。

これらはすべて「言葉を変えること」によって手に入る。
本書は強い心としなやかなメンタルを作る助けになってくれるはず。年末年始に読んでおくと、2024年は一味違った自分になれるのではないか。

(新刊JP編集部)