[J1第5節]鹿島 1−0 磐田/3月30日/県立カシマサッカースタジアム

 まさかの組み合わせを送り出したランコ・ポポヴィッチ監督の大胆な采配が、見事に的中した。

 鹿島アントラーズは3月30日、J1第5節でジュビロ磐田とホームで対戦。鈴木優磨がPKで挙げた1点を守り抜き、1−0で勝利。今季初の連勝を飾った。

 4−2−3−1の布陣で臨んだ鹿島のダブルボランチは、知念慶と土居聖真だった。今季の開幕前にFWからコンバートし、4試合でスタメン出場を続ける知念にも驚かされるが、磐田戦ではその相棒に、2列目を主戦場とし、ボランチでの先発経験のない土居を抜擢した。

 トップ下で先発した名古新太郎や、ベンチ入りしていた樋口雄太らボランチでの出場経験がある選手ではなく、あえて土居に白羽の矢を立てたのには、指揮官ならではの狙いがあったという。

「ボールを落ち着かせることができなかったら、良い守備もできないし、良い攻撃もできない」

 その信念のもと、確かな技術や戦術眼、「サッカーの賢さ」を持つ選手として、土居に可能性を感じていたという。

 磐田戦では土居が2CBの間に下がってビルドアップを助け、相手陣内では質の高いラストパスでチャンスを創出。前半終了間際には、巧みな浮き球で鈴木の決定機も演出している。

 一方の知念も、的確なポジショニングで相手の攻撃の芽を摘み、攻め上がってミドルシュートを狙う。強度のある知念と、パスセンスのある土居はお互いに強みを発揮した。
【PHOTO】磐田との伝統の一戦『CLÁSSICO』で声援を送る鹿島アントラーズサポーター(Part1)
 そんな2人について指揮官は以下のようにコメントした。

「攻撃的な選手2人がボランチで並んでプレーするというのは、鹿島に関わる誰ひとり思っていなかったんじゃないでしょうか。ただ、その2人が並んでプレーしても非常に良いものになった」

 今季は、ボランチの一番手と見られていた柴崎岳が開幕前の怪我で離脱中。さらに磐田戦では、先の日本代表招集を負傷のため辞退した佐野海舟の復帰も間に合わない緊急事態でもあった。

「内容と結果が伴わなかったら、この監督は何をやっているんだろうと。ボランチに土居聖真を置くなんて考えられないと言われたかもしれません」(ポポヴィッチ監督)

 独自の感性で土居と知念のコンビを選んだポポヴィッチ監督の采配は、苦肉の策と言うよりも、理にかなったものだった。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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