小川航基(NEC)は4月14日の対ズウォレ戦で2ゴールを叩き出し、オランダリーグ参戦1年目で二桁ゴールを記録した。
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 1点を負うNECは48分、左ウイングのロベルト・ゴンザレスのクロスを、小川がダイビングヘッドでループ気味のシュートを決め1-1とした。

「ヘディングしてから肩にも当たったような気がしました。どこにシュートが当たろうが、ああいうところでゴールの枠に入るというのが一番大事なところ。そこが、その人の持っている“星”だったり“運”だったり、“持っているもの”だったりする。僕にはそれがあると思います」

 このように1点目のダイビングヘッド弾を振り返ると、小川は自身のストライカーとしてのイメージを語った。

「『決定力には自信がある』と常々思うというか…。僕は最近、『そんなに多くチャンスを作り出せるストライカーではない』と感じている。自分にボールが全然入らない試合もたくさんある。足がとても速かったり、身体がもの凄く強かったりしたら、もっと自分でチャンスまで持っていけるだろうけれど、僕はそうではない。そこでどうやって得点数を伸ばすかと言ったら、やっぱり決定力。僕がシュートをボコボコ(的はずれなコースに)外す印象はたぶん、ないと思うんです。

 ちょっとさっき思ったんですよね。(頭で撃ったシュートが肩に当たり)フワーって入ったところでも、少ないチャンスをモノにしてきたという感じがある、と。これを良い面として捉えるのか、悪い面として捉えるのか、それは人それぞれ。自分も『どっちに捉えようかな!?』と思うところもあるんですが、良い面として捉えてから、もっとチャンスを作り出せる動きも必要になってくるのかな、と思います」

 小川は53分、PKをゴール中央に成功させ、2-1のリードにチームを導いた。

「PKをもらった瞬間、『今日は真ん中』と決めて蹴りました」

 ペナルティスポットに立つと、ズウォレの選手が「右に蹴るぞ、右だ!」と言いながら、小川に対して精神的な揺さぶりをかけてきたという。

「やっぱりPKも駆け引きも含めて実力だなと僕は思う。自分はFWなんでPKを蹴る機会が多く、『こいつは前節、こっちに蹴っているな』とか、今の時代、データが多く残ります。僕は今季、1本しかPKを蹴っていませんでした。『分析、されているな』と感じましたが、『今日は絶対、真ん中に蹴れば100%入る』と思ってました」

 GKの読みが外れ、小川のPKは柔らかな弧を描いてゴール中央に吸い込まれた。

「真ん中に蹴っただけですね。(チップキックを選択しなかったのは)昔、1回ふかしちゃったことあるんです」
 
 その小川の一言でピンと来た人も多いだろう。桐光学園のキャプテンとして迎えた高校サッカー選手権3回戦、青森山田との試合で小川は2ゴールを決めたものの、PKを上に外してしまって3-0にすることができず、2-2からのPK戦でも小川が失敗し負けてしまった――。

 あのゴール上に外したPKのことですか? と訊くと、小川は「はい」と言って続けた。

「チップで蹴るとミスキックになりやすい。あれぐらいフワッと蹴ることでミスキックを抑えることができます。なおかつGKが飛んだ後に(ボールがゴールラインを超す)、真ん中に強いPKを蹴る選手もいますが、強く蹴ったらGKが飛んでも足に当たってしまいます」
【動画】小川航基がズウォレ戦でダイビングヘッド&PKで2ゴール! 
 その後、ズウォレの粘りにあって、試合は2-2の引き分けに終わり、NECはアヤックスに抜かれて6位に順位を落としたが、とても素晴らしいシーズンを送っている。1週間後はフェイエノールトとのKNVBカップ決勝戦という大舞台が、NECを待ち受けている。

 チームとともに小川も成長を重ね、押しも押されもせぬエースストライカーになった。3月の国際マッチウイークで北朝鮮と戦ってからオランダに戻った小川は体調を崩し、「1週間近く寝たきりになってコンディションが戻らなかった」のだという。NECが今季無敵のPSVを3-1で倒したとき、小川はスタンドからチームメイトの活躍を見守った。
 
「PSV戦のNECはとても良かった。FWの選手(=普段はスーパーサブを務めるシラ・ソ―)もゴールしました。それでも僕が練習に復帰してから2日目の試合(対フォルトゥナ戦/1-1)でスタメンに出ることができました。コンディションは万全ではありませんでしたが、それでも自分を使ってくれたというのは、今まで自分が(プレーや結果で)示したことがあると思います。そこの信頼はとても嬉しかったです。体調を崩してしまったことは申し訳ありません。今日はちょっとコンディションが戻ってきた感じがしました。ここから4試合、もっとゴールを決めたいです」
 
 森保一・日本代表監督の目前でNECを勢いづかせる2ゴールを決めただけでなく、この夜の小川はポストプレーの豊富なバリエーションを披露した。

「日本は2列目に素晴らしい選手がいるから、彼らを活かしたサッカーをたぶんしたいのだと思う。ワントップとして前線で身体を張ることができ、2列目をいい状態で使える選手が重宝され、求めていると思うんです。僕自身、(NECで)そのことにフォーカスして今シーズン取り組んできました。まだまだ十分ではありませんが、多少なりともそこが評価されたという印象があります。ワールドカップのメンバーに選ばれるために、そこをもっともっと突き詰めていきたいと思います」

 ゴールでサポーターを熱狂させ、技ありのポストプレーでファンを唸らせる。それがNECの背番号18、小川航基だ。

取材・文●中田 徹

【動画】小川航基がズウォレ戦でダイビングヘッド&PKで2ゴール! 


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