大岩剛監督が率いるU-23日本代表はU-23アジアカップでベスト4に進み、パリ五輪出場まであと1勝とした。

 準々決勝のカタール戦の最終スコアは4−2だったが、試合内容から見れば延長戦を含む120分を戦った末の辛勝だった。

 ベストメンバーが出た時の日本は、ワイドエリアとハーフスぺースでの連係が気持ちいいほど優れている。相手が分厚い2ラインを敷いても、2〜3人の連係でボックスへ入ってチャンスを作り出せる。

 だが、カタール戦ではそういうスタイルだけでなく、バリエーションが必要だという教訓を残した。日本の選手が必ずボックス内へ突破してくることを分かってるカタールは可能な限り後ろに下がってブロックを作ったまま待ち受けていた。日本がもう少しペナルティエリアの外からミドルシュートを打っていたら、カタールの守備を引き出せたのではないか。

 結果として、日本はこうした細かい攻撃からの得点はゼロだった。セットプレーからゴールを奪えているのはいい傾向とはいえ、アジアのチームは、日本に対してリトリートして分厚い守備で固めてくる。5バックで日本を完封して勝利した韓国もそうだった。準決勝のイラク戦では、もう少し直線的でシンプルな攻撃があってもいいのではないか。
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 一方、守備に目を向けると、カタールに許した2ゴールは、共にボックス内で相手の選手をフリーにしたミスから生じた。ヘッドを競り合う場面で、自分がクリアを出来なくても必ずジャンプをして相手がヘッドをしづらくするのが鉄則だが、日本の4番(関根大輝)と9番(藤尾翔太)は相手を妨害するプレーをしてなかった。

 イラクはセットプレーが上手いチームだ。大岩(剛)監督は、選手にもっとはっきり指示しておくべきだろう。

 FWの細谷(真大)は希望と絶望の間を彷徨った。37分に松木(玖生)が送ったクロスを無人のゴール前で外した。トーナメントでは上に勝ち上がるほどチャンスが少なくなる。エースがこんなチャンスを無駄にしてはいけない。

 それでも、延長戦に入ってようやく記録した大会初ゴールが貴重な勝ち越しゴールとなった。それがストライカーに与えられた使命だろう。最後の最後までこの19番を信じてピッチから外さなかった大岩監督の忍耐力には拍手を送りたい。

 日本が順当に勝ち進んだ一方で、韓国は準々決勝のインドネシア戦でレッドカードのトラブルを克服できずに敗退した。10回連続のオリンピック出場を果たせなかった。

 日本もレッドカードのような決定的なミスを避けなければならない。(西尾隆矢が退場した)初戦の教訓もある。無理なプレーやタックルなどレッドの危険があるプレーに注意すべきだ。

文●ホン・ジェミン(フリーランス)

【著者プロフィール】
英サッカー専門誌『Four Four Two』韓国版の編集長など経てフリーに。2024年のアジアカップでは日本戦も全試合取材。韓国代表ファン・ヒチャンの自宅で独占インタビューを行なうなど選手の信頼も得ている。

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