アスレティック・ビルバオのFWラウール・ガルシアが、今シーズン限りでの現役引退を発表した。


「ここに残ることが叶わなかったら、引退を決断していただろうね」と、昨夏に1年間の契約延長を締結したラウール・ガルシアは語っていた。そして宣言通り、アスレティック・ビルバオでスパイクを脱ぐことになる。プロキャリア20年の旅の果てに、コパ・デル・レイ(国王杯)優勝というお土産を抱えて。1986年7月11日生まれの現在37歳は、オサスナ、アトレティコ・マドリード、アスレティック・ビルバオの3クラブに在籍すると、未だかつて3人しか到達していないラ・リーガ通算600試合出場という偉大な記録の達成者だ。


 オサスナの下部組織出身で、2004年にハビエル・アギーレ監督の下でトップチームデビューを果たした当初は、“パンプローナのジダン”の異名を取ったラウール・ガルシア。2007年夏に加入したアトレティコ・マドリードではポジションの幅を広げるとともに、ディエゴ・シメオネ監督の下でより“戦える”選手へと進化を遂げる。2015年夏からはアスレティック・ビルバオに活躍の場を移すと、元来の主戦場だったセントラルミッドフィルダーから最前線に本格的にコンバート。2019−20シーズンにはキャリアハイとなるラ・リーガ15得点を記録した他、勝負所のパワープレー要員としてもチームを救うなど、新境地の開拓は実を結んでいた。


 今シーズンはここまで公式戦18試合・プレータイムは393分と出場機会が多かったわけではない。それでも、先の国王杯・決勝戦マジョルカ戦で延長開始から途中出場すると、PK戦ではプレッシャーのかかる1番手のキッカーを務めるも難なく成功。大ベテランとして40年ぶりの優勝に大きく貢献していた。そして15日、自身の公式Instagramを更新したラウール・ガルシアは「すべてに終わりがある」と綴るとともに、1本の動画を投稿。キャリアを始めたオサスナ、ラ・リーガやヨーロッパリーグなど計7タイトルを獲得したアトレティコ・マドリード、最長在籍クラブとなったアスレティック・ビルバオのユニフォームを丁寧に畳み、戸棚にしまう姿は、まさに“引退”を想起させるものとなっている。



【引退発表】37歳ラウール・ガルシアが現役引退