日本代表の中村敬斗、伊東純也が所属するスタッド・ランスは2日、ウィリアム・スティル監督と来季の契約を延長しないことで合意し、同日付けで退任することを公式サイトで発表した。


 現在31歳のスティル監督は、10代後半から指導者として活動し、シント・トロイデンやスタンダール・リエージュなど、母国ベルギーのクラブでアナリスト、スカウト、コーチなどを務めた。2021年にはベルギー1部リーグ史上最年少となる28歳でベールスホット(現2部)の監督に就任した経歴を持つ。


 2021シーズンからスタッド・ランスのアシスタントコーチに就任し、シーズン途中のスタンダール・リエージュへの移籍を経て、2022シーズンからスタッド・ランスのアシスタントコーチに復帰。同年10月にオスカル・ガルシア監督が成績不振で解任されたことに伴い、暫定監督を経て監督へ昇格した。


 当時のチームは開幕10試合で1勝5分4敗と低迷しており、難しい舵取りを求められたが、残りのシーズンで11勝10分7敗と立て直し、11位でのフィニッシュに貢献。就任当初、スティル監督はリーグ・アンで指揮を執るためのUEFAプロライセンスを持っていなかったが、クラブは指揮官を信じて毎試合罰金を払って試合を行い、監督をサポートし続けた。就任2年目となる今シーズンも、昨季と同じようなペースで勝ち点を積み上げ、ここまで12勝7分13敗のリーグ11位に位置していた。


 そんな中、スタッド・ランスは2日に公式サイトで声明を発表。ジャン・ピエール・カイヨ会長、マチュー・ラクールGM、スティル監督との会談の末、来シーズンの契約を延長しないことで合意したことを明かし、来シーズンに向けてクラブが準備するため、同日付けでスティル監督と弟のニコラ・スティルアシスタントコーチがクラブを離れることを発表した。


 ジャン・ピエール・カイヨ会長は「ウィルとニコラへの投資と、共に経験したすべての美しい感情に感謝したい」と公式サイトに声明を掲載し、「ユニークなクラブのプロジェクトの中心で、自分の信念を貫く方法を知っている監督・コーチの出現に貢献できたことを誇りに思う。(中略)特にロッカールームの国際化という文脈において、スタッド・ランスが新たな一歩を踏み出すことを可能にしてくれた。ウィル、ニコ、我々スタッド・ランスファミリーはあなたに感謝し、あなたの残りのキャリアが最高のものになることを祈っています」と感謝を語った。


 一方、スティル監督も「このユニークな機会を与えてくれて、私をサポートしてくれたスタッド・ランス、カイヨ会長、そして、マチュー・ラクールGMに感謝します。私はスタッド・ランス、クラブに直接的でも間接的でも関わったすべての人々に永遠に感謝するでしょう。特に、一緒に仕事をすることができた選手全員、スタッフたち、そして何よりもこの素晴らしいクラブのサポーターに感謝したいと思います」とコメント。


 つづけて、「昨シーズンの公式戦19試合連続無敗記録とスタッド・オーギュスト・ドローヌ(本拠地)での素晴らしい試合は、私にとって特別な瞬間であり続けるでしょう。ドローヌとシャンパーニュ地方は、私の人生において常に特別な場所であり、私はこれからも一番のサポーターであり続けます」と、感謝のコメントを残している。



【ハイライト】スティル監督のラストマッチとなったニース戦