レアル・マドリードに所属するドイツ代表MFトニ・クロースが21日、EURO2024をもって現役を引退することを電撃発表した。この決断を受けて、クロースは自身の公式Instggram(@toni.kr8s)を更新。スパイクを脱ぐ決断を下したことを受けての率直な心境と、レアル・マドリードへの感謝、そして“最後の野望”について語った。


 現在34歳のクロースはバイエルンで主力として活躍し、3度のブンデスリーガ優勝や2012−13シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)制覇などを経験。ドイツ代表としても主力として活躍し、FIFAワールドカップブラジル2014で優勝を成し遂げた後、2014年夏にレアル・マドリードの一員となった。


 加入直後から、正確無比な右足や卓越した戦術眼などを武器に、主力として絶大な存在感を放ったクロースは、インテリオールだけでなくピボーテとしても活躍。34歳となった今季もそのパフォーマンスに衰えは見られず、ここまで公式戦46試合のピッチに立って1ゴール9アシストを記録。2シーズンぶり通算36度目のラ・リーガ制覇に大きく貢献しただけでなく、CLでも2年ぶりの決勝進出に貢献している。


 クロースはレアル・マドリードで、公式戦通算463試合出場28ゴール98アシストを記録。在籍した10年間で獲得したタイトル数は「22」にのぼり、2015−16シーズンから始まったCL3連覇を含む4度の欧州制覇、4度のラ・リーガ優勝、5度のFIFAクラブワールドカップ優勝などに大きく貢献した。


 今回、現役引退を発表したクロースは、自身の公式Instggramを通して、レアル・マドリードに加入してからの日々を振り返った。成功に満ちた10シーズンを回想し、次のように率直な心境を言葉にしている。


「2014年7月17日、レアル・マドリードの入団会見を実施したこの日は、僕の人生を変えてくれた1日だ。サッカー選手としての人生だけでなく、何よりも僕個人としての人生をね。世界最高のクラブでの新しい人生の始まりだった。そして今日、この人生が終焉を迎えることを伝えた。10年後のシーズン終了とともに、夢のような人生の幕を下ろす」


「この成功に満ちたエキサイティングな10年間を、僕は決して忘れることはないだろう。特にフロレンティーノ・ペレス会長、クラブ、そして常にオープンな気持ちを持って僕を迎え入れ、信頼してくれたすべての人々に感謝したい。そして何よりも、親愛なるマドリディスタの皆さんへ。このクラブの一員となった初日から、最後まで愛情とサポートを本当にありがとう」


「同時に、この決断は、僕の現役サッカー選手としてのキャリアが、今夏のEURO2024をもって終了することを意味する。常々口にしてきたように、レアル・マドリードは僕にとって最後のクラブであり、これからもそう在り続けるだろう」


 また、クロースは「今日、自分の頭と心の中で、この決断にふさわしいタイミングを見つけられたことを嬉しく思うし、誇りに思う」と綴ると、かねてより公言していたように、このタイミングでの引退となった理由を「僕の野望は常に、自分が思うトップレベルでキャリアを終えることだった」と説明。“キャリアハイ”と呼べるような姿で、人々の記憶に鮮明に刻まれたなかでの引退を考えていたことを、改めて明かした。


 そして最後には、クロースにとってレアル・マドリードでの“最後のタイトル”となるかもしれない、CL決勝への思いを言葉にした。


「この瞬間から、僕の頭の中にはただ1つの大きな思いがある。この思いから僕を遠ざけるものは何もない。15度目の欧州制覇だ。アラ・マドリー・イ・ナダ・マス(行け!マドリー。それ以外は何もいらない)」


 クロースがドイツ代表に合流する前、レアル・マドリードでの最後の試合となるCL決勝のドルトムント戦は、日本時間で6月1日の28:00(2日の4:00)にキックオフを迎える。



【動画】クロースとレアル・マドリードの10年間