開幕から25イニング連続無失点の村上頌樹

ロッテの佐々木朗希が4月28日のオリックス戦(京セラドーム大阪)初回に失点するまで開幕から20イニング連続無失点を記録して話題になったが、5月7日現在も無失点を続けている投手が2人いる。

阪神・村上頌樹とオリックス・山下舜平大だ。村上は4月1日のDeNA戦(京セラドーム大阪)に中継ぎとして1イニング無失点に抑えた後、同12日の巨人戦(東京ドーム)で7回パーフェクト投球。岡田彰布監督の継投策で完全試合は幻に終わったが、完璧な投球で21アウトを取り、一気にブレイクした。

さらに同22日の中日戦(バンテリンドーム)では2安打10奪三振で完封し、プロ初勝利。同29日のヤクルト戦(神宮)も8回無失点で2勝目を挙げた。

先発予定だった5月6日、7日の広島戦(マツダ)は2日連続で雨天中止となったが、ここまで25イニングで23三振を奪い、いまだ無失点。規定投球回には達していないものの防御率0.00で隠れ1位だ。

20.1イニング連続無失点の山下舜平大

オリックスの山下も負けていない。

プロ初登板が3月31日の西武との開幕戦(ベルーナドーム)という大抜擢を受け、勝ち星こそつかなかったものの5.1イニング1失点の上々デビュー。続く4月11日の楽天戦(楽天モバイル)で5回2安打10奪三振無失点と好投し、プロ初勝利を挙げた。

さらに同23日の西武戦(京セラドーム大阪)で7回3安打8奪三振無失点、5月5日の西武戦(京セラドーム大阪)で7回6安打8奪三振無失点と結果を残し続けて3連勝。開幕戦の5回から継続している無失点は20.1イニングに伸びており、規定投球回に達していないものの、佐々木朗希の0.84をも上回る防御率0.37は村上と同じく隠れ1位となっている。

しかも24.1イニングで33三振を奪っており、奪三振率は12.21をマーク。当初はオーストリア・ハンガリー帝国の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが由来という名前のインパクトが強かったが、今は純粋に投手として注目されている。

2020年プロ入り後は二軍でじっくり育成

ともに力強いストレートを投げる本格派右腕。無失点を継続しているだけでも共通点は少なくないが、実はプロ入りも同期だ。

村上は智弁学園高時代の2016年センバツで優勝し、東洋大を経て2020年ドラフト5位で入団。山下は福岡大大濠高時代は甲子園出場こそなかったものの同年ドラフト1位でプロ入りした。

さらに2人とも二軍でじっくりと育てられた点も共通している。村上は2021年に二軍で10勝1敗、防御率2.23をマークして投手3冠、2022年も二軍で最優秀防御率、最高勝率の2冠に輝くなど着実に力をつけてきた。昨季までの一軍登板は2021年の2試合のみだった。

山下は2021年に二軍で18試合登板して2勝9敗、2022年も二軍で8試合登板して2勝2敗。一軍での登板は1試合もなかった。ただ、昨年の日本シリーズで登板が検討されるほど成長が著しかったという。

ともに二軍で大きく育てられたのは、両チームとも一軍投手のコマが揃っていることもあるだろう。人手不足なら急遽、一軍に引き上げられた可能性もあっただろうが、チーム事情が2人をここまで成長させたとも言える。

2人の無失点はどこまで続くだろうか。同じ成長曲線を描く若き本格派右腕から目が離せない。

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