クラシックへの重要な前哨戦

今週日曜日、中山競馬場でGⅡ・弥生賞が行われる。ホープフルS2着シンエンペラー、4着アドミラルシップ、6着シリウスコルトに加え、2戦2勝馬のダノンエアズロック、トロヴァトーレ、ファビュラススターなどが出走を予定している。

皐月賞と同じ舞台で行われ、クラシック戦線への一大登竜門として久しく親しまれているレース。昨年もタスティエーラがここを優勝したのち、皐月賞2着を経てダービーを勝った。過去のデータを参考に馬券戦略を検討する。

前走1着馬を重視

弥生賞の前走着順別成績,ⒸSPAIA


<弥生賞 前走着順別成績>
1着【7-7-1-35】勝率14.0%/連対率28.0%/複勝率30.0%
2〜3着【0-2-5-16】勝率0.0%/連対率8.7%/複勝率30.4%
4〜5着【3-0-3-6】勝率25.0%/連対率25.0%/複勝率50.0%
6着以下【0-1-1-22】勝率0.0%/連対率4.2%/複勝率8.3%

弥生賞は順調に勝ち上がってきた馬が引き続き好成績を残すレース。過去10年で前走1着馬が7勝2着7回。前走1勝クラス勝ち馬が【2-2-0-9】複勝率30.8%という数字で、1着の2頭はいずれも中山芝2000mで行われた1勝クラスを勝っていた。今回該当するトロヴァトーレ、ファビュラススターの2頭には注目したい。なお前走OP勝ちは【2-0-0-2】だが、2勝は若駒S組で、アイビーS組は出走歴がない。また新馬、未勝利勝ちは【0-1-0-17】。初勝利を挙げたばかりの馬が通用するケースはさすがに少ない。

続いて前走2〜3着馬について。こちらは勝ちがないが、前走ホープフルS組(GⅠ昇格後)は【0-2-1-2】複勝率60.0%と相手には押さえたい成績。ただし複勝回収率は74%と、妙味はそれほど望めない。また、前走が中山以外のレースだと【0-0-3-8】で3着が精いっぱいだ。

最後に前走4〜5着馬について。前走重賞組が【3-0-3-2】で複勝率75.0%、単勝回収率は765%。昨年のタスティエーラもこのパターンで、共同通信杯4着から弥生賞を勝った。今年はニシノフィアンスが京成杯5着(0秒3差)で該当する。

無敗馬がここでも躍動

◎トロヴァトーレ
ここまで2戦2勝と底を見せていない。昨年9月の新馬戦(中山芝2000m)は4番手追走からラスト2F11秒4-11秒2のラップを抜け出し、圧倒的人気に応えた。葉牡丹賞は5〜6番手を追走し、直線では前が壁となるシーンもあったが、1頭分スペースが開くと一気に突き抜け快勝。ラスト3Fは11秒7-11秒3-11秒4、勝ち時計2分0秒4と優秀な内容だった。いずれも能力の高さを遺憾なく発揮しており、クラシックでの活躍に注目したい1頭だ。

◯シンエンペラー
メンバー唯一の重賞勝ち馬で、ホープフルS2着と実績最上位。そのホープフルSは最後の1Fで外に大きくヨレ、そこをレガレイラに差されてしまう未熟さを見せたが、直線での抜け出し方は力強く、スピードはトップレベルだ。今回初めてコンビを組む川田騎手もその実力を認めている。

▲ダノンエアズロック
前走のアイビーSは前半5F63秒1、最後の3Fが11秒2-10秒9-11秒0という超瞬発力勝負となるなか、2番手から上がり3F32秒7の末脚を使い、逃げ粘る2着馬を差し切った。この時3着に負かしたのが、のちにホープフルSを勝つレガレイラ。キレ味は間違いなく一級品だが、キャリア2戦はいずれも東京コース。右回りかつ直線の短い全く異質な中山コースへの適性は未知数。能力で押し切れるか。

以下ファビュラススター、シュバルツクーゲル、ニシノフィアンスに印を回す。馬券は◎軸、◯以下相手の3連複10点で勝負する。

▽弥生賞予想▽
◎トロヴァトーレ
◯シンエンペラー
▲ダノンエアズロック
△ファビュラススター
×シュバルツクーゲル
☆ニシノフィアンス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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