天皇賞(春)の前哨戦

天皇賞(春)の前哨戦にして、阪神芝3000mを舞台に争われる阪神大賞典。2023年の優勝馬ジャスティンパレスが勢いそのままに本番でも勝利するなど、近3年連続で好走馬を輩出している。出走を予定している馬たちの主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返っていく。


有馬記念【データ:A メンバーレベル:A】

過去10年の成績【5-6-2-6】勝率26.3%、連対率57.9%、複勝率68.4%

前走有馬記念の馬は23年に1〜3着を独占し、過去10年で5勝。最も相性の良いローテーションだ。

レースは迷いなくハナを奪ったタイトルホルダーが、1000mを通過したあたりから後続を引き離し、2番手にスターズオンアースがつける展開となった。レース序盤は後方に待機していたドウデュースが勝負所の4角で3番手までポジションを押し上げると、ゴール前はタイトルホルダーやスターズオンアースとの追い比べを制し、日本ダービー以来となるGⅠ勝利を果たした。

ディープボンドは中団よりやや後方から運んで15着。GⅠクラスを相手に2500m、かつある程度速い上がりを求められる展開では厳しかった。それでも3000m以上では21〜22年に阪神大賞典を連覇、21〜23年に天皇賞(春)で2着。適距離に戻る今回は巻き返してくるだろう。

日経新春杯【データ:B メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-1-7】勝率11.1%、連対率11.1%、複勝率22.2%

過去10年では16年シュヴァルグランが勝利。直近では19年にロードヴァンドールが10番人気3着と波乱を演出している。

レースはディアスティマとリビアングラスによる先行争いが激化し、800m通過が45.6(12.7-10.4-10.6-11.9)というハイペースに。最終的にハナを奪ったディアスティマは4角で失速、直線は1〜4着馬が広がっての追い比べとなったが、外から伸びたブローザホーンが差し切り重賞初制覇を果たした。勝ちタイムは2:23.7だった。

ブローザホーンにとっては初の3000mとなるが着実に力をつけており、実績あるステイヤーたち相手にどこまでやれるか注目だ。

2着サヴォーナは4番手追走から直線、最内を突いて一旦先頭に立つかという場面もあったが、勝ち馬に1馬身及ばなかった。先行して見せ場を作った内容は評価でき、3000mへの距離延長もプラスとなるだろう。

14着ディアスティマは序盤に競りかけられて息が入らず、ハイペースになったことが大敗の要因。今回こそマイペースで逃げたい。


ダイヤモンドS【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-1-2-15】勝率0.0%、連対率5.6%、複勝率16.7%

過去10年で優勝馬こそ出ていないが、16年タンタアレグリアは4番人気2着、20年メイショウテンゲンは4番人気3着、21年ナムラドノヴァンは9番人気3着と好走。複勝回収率169%という成績を残している。

スタート後200〜600m地点まではヒュミドールとグランスラムアスクが競り合い11.0-11.7のラップが刻まれたが、スタンド前ではヒュミドールが逃げる形となりペースは落ち着いた。ほぼ縦一列で淡々と流れて迎えた最後の直線は、残り400m標識を過ぎたあたりからゴールまでテーオーロイヤルとサリエラの一騎打ち。クビ差でテーオーロイヤルが制し、勝ちタイム3:30.2で2年ぶり2度目のダイヤモンドS勝利となった。

テーオーロイヤルは斤量58.5kgを背負っていたが、ここは地力の高さを証明。3000m以上のレースでは【2-1-1-0】と安定感抜群で、今回も上位争いを期待したい。

ワープスピードは道中7番手追走から、上がり最速タイの33.7で追い込むも0.2秒差の3着。テーオーロイヤルには格の違いを見せつけられる結果となったが、ステイヤーとしての素質は高い。


万葉S【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-0-1-6】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率14.3%

万葉Sからの参戦は過去10年で7頭あり、22年シルヴァーソニックが3着に入っている。

好スタートからビジンが逃げるも、1000mを通過したところでジャンカズマがハナを奪った。その後は2周目の3角手前辺りで、再びビジンが先頭に並びかける展開に。最後の直線は各馬が横に広がるも、道中後方2番手で脚を溜めていた格上挑戦のメイショウブレゲが外から突き抜けた。

ジャンカズマは最後までしぶとく粘っていたが、ゴール前で差されて0.4秒差の4着。プリュムドールは最後方から伸びるも6着だった。勝ち馬のメイショウブレゲを含めた3頭とも一気の相手強化で、どこまで通用するかというところだ。

天皇賞(春)【データ:なし メンバーレベル:A】

過去10年で出走なし

スタンド改修を経てグランドオープンした京都競馬場が舞台となった23年天皇賞(春)。外からアフリカンゴールドが先手を奪い、1000mを59.7で通過した。1角でタイトルホルダー、2周目3角ではアイアンバローズが先頭に立つという入れ替わりの激しい展開。このなかで、中団追走から勝負所で4番手までポジションを押し上げたジャスティンパレスが残り200mで先頭へと躍り出た。そのまま後続に2馬身半の差をつけ、勝ちタイムは3:16.1(稍重)でGⅠ初制覇を果たした。

シルヴァーソニックは中団よりやや後ろを追走。直線は外から伸びるも2着ディープボンドから0.2秒差、ジャスティンパレスからは0.6秒差の3着という結果だった。今回は約11か月ぶりの実戦となるが、そこさえクリアできれば勝ち負けできる力は秘めている。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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