スピードと経験値のバランスが大切

フェブラリーS、ドバイと終わり、ダート戦線はここから夏に向け路線が分岐する。マイル路線はかしわ記念へ、中距離は帝王賞へと続く。ドバイで激戦を終えたトップどころがしばしの休みに入るなか、国内組は帝王賞を含め地方交流出走に必要な賞金稼ぎのステージに入る。賞金水準の高いダート戦線は中央の重賞が少なく、アンタレスSは貴重な場でもある。データは過去10年分を使用する。

アンタレスSの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%を筆頭に2、3番人気まで8勝と上位人気は強力だ。ここに照準を定めた実績馬はそうそう崩れない。6番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%までが好走ラインで、上位拮抗戦になることが多い。

アンタレスSの年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では5歳【5-2-2-21】勝率16.7%、複勝率30.0%が目立ち、4歳は【1-4-2-28】勝率2.9%、複勝率20.0%とやや勝ち切れない。スピードだけでは押し切れないダートでは経験とスピードのバランスが大切で、5歳が走りごろでもある。6歳【2-2-5-35】勝率4.5%、複勝率20.5%も侮れない。ダートではベテランも元気だ。


前走距離に注目

今年の出走馬で5歳といえばテーオードレフォンに注目だ。前走名古屋城SでOP初勝利。勢いそのままに重賞で賞金加算できるだろうか。

アンタレスSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走OP/Lは【2-2-2-33】勝率5.1%、複勝率15.4%で重賞組に比べるとやや劣勢だが、名古屋城Sは【1-2-1-2】勝率16.7%、複勝率66.7%と気を吐く。3着以内だと【1-2-1-0】と全て馬券に絡んだ。上位は控えそうな馬も多く、ふたたび恵まれる可能性はあるだろう。

有力視されるのは前走地方【5-5-2-23】勝率14.3%、複勝率34.3%と前走JRA重賞【3-3-5-63】勝率4.1%、複勝率14.9%だ。前走地方は名古屋大賞典が【3-3-1-6】だが、今年から12月に施行時期が移ったため該当する馬がいない。ダイオライト記念【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%は2着以内【1-2-1-1】、3着以下【0-0-0-5】。3着ハギノアレグリアスはちょっと推せない。

アンタレスSの前走JRA重賞、レース別成績,ⒸSPAIA


対して前走JRA重賞は東海Sが【1-0-2-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。1着【1-0-0-1】、10着以下【0-0-2-0】で、ヴィクティファルスと同じ3着だった馬の出走例はない。このデータの大半は中京の東海Sであり、今年は京都で行われた。7着ミッキーヌチバナは阪神実績もあり、舞台替わりで狙えそうだ。

アンタレスSの前走距離別成績,ⒸSPAIA


クラスを問わず距離の傾向を出すと、前走1800m超の距離短縮が【7-5-2-37】勝率13.7%、複勝率27.5%と目立つ。仁川S14着ゲンパチルシファーは巻き返せるか。やや阪神実績が足りない気もする。

であれば同距離同距離1800m【3-4-8-73】勝率3.4%、複勝率17.0%だろうか。馬券内頭数が15頭と三連複の軸向きでもある。上記であげたテーオードレフォン、ヴィクティファルス、ミッキーヌチバナのほかに、内房Sを勝ったダノンマデイラもいる。前走3勝クラスは【0-0-1-10】複勝率9.1%と壁にぶつかる印象だが、ダノンマデイラは中山連勝など急坂コースを苦にしない。

2024年アンタレスSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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