観客動員数も過去最高と絶好調

3月29日に開幕したプロ野球の2024年シーズンもあっという間に1カ月が経過。大型連休も折り返し地点を迎え、5月戦線がスタートする。

パ・リーグでは小久保裕紀新監督率いるソフトバンクが18勝6敗2分、勝率.750という好スタートを切った。特に直近は西武との3連戦で3試合連続のサヨナラ勝ちを収めるなど、神がかり的な試合運びで4月は7連勝締め。2位・日本ハムとの差も「3.5」まで広がっている。

チームの好調ぶりに引っ張られるように観客動員の方も絶好調で、4月のホームゲームは全試合で“満員御礼”を達成。4月の累計観客動員数も過去最高記録を打ち立てたことが球団から発表された。

4年ぶりの覇権奪回へ、好スタートを決めた新生・小久保ホークスの強さはどこにあるのか。今回は4月の投打のチーム成績をリーグ平均と比較しながら分析してみたい。

投高打低もどこ吹く風

ソフトバンク・チーム打撃成績


開幕から“投高打低”ぶりが話題になった今季のプロ野球だが、ソフトバンクにとってはどこ吹く風。チーム打率・本塁打ともにリーグどころか12球団で見てもトップ(※本塁打はヤクルトと並ぶトップタイ)の成績だった。

この他、細かく見ていくと打席数や安打数、塁打数、打点、四球、敬遠、盗塁、長打率、出塁率、OPSでリーグNo.1の成績。三振が一番多いというのももはやひとつの勲章に見えてくる。

個人打撃成績を見ても、打率1位が.323の柳田悠岐で2位に.3191の近藤健介、僅差の3位が.3186の周東佑京とソフトバンクの3人でトップ3を独占。4位のレアンドロ・セデーニョ(オリックス)が.296だから、パの3割打者はソフトバンクにしかいないという状態となっている。

加えて本塁打ランキングも新加入の山川穂高が6本で単独トップ。打点29も断トツで現在のところリーグ二冠を快走中。さらに22打点の2位が柳田、15打点の3位タイが近藤ということで、ここでもソフトバンクが上位を独占中だ。

直近ではリーグ7位の打率.280をマークしていた牧原大成が負傷で離脱というアクシデントもあったが、30日の楽天戦では牧原に代わって一軍に昇格した三森大貴が3安打1打点と躍動。周東が戦列を離れた期間には育成出身の3年目・川村友斗が奮闘を見せ、ここまで17試合の出場で打率.393の好成績を残している。

誰かが苦しい時に突然現れた新星がその穴を埋めるというのは、2010年代の黄金期によく見た光景。実績十分な中軸が好調を維持しつつ、層の厚さも見せつけている現状に死角は見当たらない。


光る先発陣の奮闘

ソフトバンク・チーム投手成績


続いては投手成績。打撃陣と比べるとリーグトップの項目は少なくなるが、チーム防御率2.13はリーグ断トツ。ホールドポイントとセーブ数にも表れているように、救援防御率2.25もリーグNo.1の成績となっている。

試合傾向で見ても、5回終了時にリードしていれば勝率.833、6回終了時リードなら勝率1.000と終盤の試合運びは盤石だ。先制した試合も14勝で勝率.824あり、先行押し切りがチームの快進撃を支えている。

となるとカギになるのが先発陣の奮起だが、実は先発防御率を見ても2.07で、西武の1.85には劣るもののリーグ2番目の好成績である。特に昨季リリーフだった大津亮介が3戦3勝で防御率0.90、リバン・モイネロも1勝1敗ながら防御率は1.64と新たな力の躍動が目立っている。

ここに来て経験豊富なベテラン・有原航平が好内容の2連勝と持ち味を発揮しているだけに、東浜巨や大関友久らも本領発揮となれば、このまま一気に抜け出していく可能性も大いにあるだろう。

とはいえ、新指揮官も「先は長い」と語っているように、残り試合はまだ「117」もある。長いペナントレース、どこに落とし穴が待っているか分からない。追われる立場の中で、ライバルたちをいかにして蹴落としていくのか。小久保監督の采配含め、好スタートを切ったソフトバンクのここからの戦いぶりに注目だ。


【関連記事】
・オリックス「平野劇場」をデータ解析、ファンをハラハラさせる恐るべき“仕組み”が判明
・ソフトバンクはこのまま抜け出す?柳田悠岐・山川穂高・近藤健介の超強力クリーンアップが止まらない理由
・2024年にFA権取得見込みのプロ野球選手、宣言なら争奪戦必至の目玉は?