次世代を担う若手歌舞伎俳優の登竜門として知られる、『新春浅草歌舞伎』が2024年1月2日(火)浅草公会堂で開幕。初日の朝、出演者の尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉が劇場前で挨拶をした(なお、当初予定されていた鏡開きは、前日に石川県能登地方で最大震度7を観測した地震が起きたため自粛された)。
2015年に主要な出演者が一新され、これまで以上にフレッシュな『新春浅草歌舞伎』がスタート。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2021年、22年は浅草公会堂での開催が見送られ、この2年間は歌舞伎座で『新春浅草歌舞伎』のメンバーを中心とした面々での演目を披露。23年に『新春浅草歌舞伎』が再始動し、24年で10年目を迎える。尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人の7名は今回の公演で『新春浅草歌舞伎』への出演は一区切りとなる。

尾上松也(中央)

尾上松也(中央)

中村歌昇(中央)

中村歌昇(中央)

坂東巳之助(中央)

坂東巳之助(中央)

尾上松也:皆さま、おはようございます。そして、新年明けましておめでとうございます。たくさんの方にお集まりいただき、大変嬉しゅうございます。では、短い時間ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
中村歌昇:出演者全員が1部2部両方の部に出られるのは久しぶりですので、 一生懸命勤めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
坂東巳之助:おはようございます。明けましておめでとうございます。松也のお兄さんから、隼人くんまで我々『浅草歌舞伎』一区切りということでございまして。浅草には当然これからも遊びに来ることもありますし、浅草公会堂には別の舞台で出演させていただくこともあるかと思いますけども、この初日の挨拶は『新春浅草歌舞伎』に出ないと見られない景色なので、今、目に焼き付けてます。26日まで精一杯頑張ります。よろしくお願いいたします。
坂東新悟:明けましておめでとうございます。今、巳之助兄さんから一区切りという言葉がありました通り、こういう形で出演させていただくのは最後となりますけれども、今回こうやって演じている役を、いつかまた今度は歌舞伎座で勤められるように、精いっぱい勤めたいと思いますし、 そして、いつかまたこの浅草に若手の助けとして戻ってこれるように、精一杯精進していきたいと思います。どうぞひと月よろしくお願いいたします。

中村種之助(中央)

中村種之助(中央)

坂東新悟(中央)

坂東新悟(中央)

中村種之助:お集まりいただきましてありがとうございます。一区切りということもございまして、今までお世話になったご恩返しを込めて、千秋楽まで精一杯勤めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
中村米吉:皆さま、新年明けましておめでとうございます。 本当に今年は一区切りということでございまして、思い返しますと、私がこの浅草へ出させていただきました最初の年が同じく今年と同じ辰年でございまして、12年経ったのかなと思いまして、すごく感慨深く思っております。
また、私が初舞台を踏みましたのも辰年でございまして、そして、一区切りも辰年と。何かとこの辰年に縁がある。私は酉年なんですけれども、ですので「立つ鳥、跡を濁さず」という気持ちで精一杯勤めたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

中村隼人(中央)

中村隼人(中央)

中村隼人:皆さま、新年明けましておめでとうございます。米吉くんと同じく、私は12年前から出させていただいて、そのときは私、高校3年生でしたけど、今は無事に30歳となりました。30歳になって初めてのこの1月の舞台ということで、気を引き締めて、そして12年間出続けた舞台も、今年で一区切りということで、悔いのないように、思い出をたくさん作りながら、頑張って初役に挑んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
中村橋之助:皆さま、明けましておめでとうございます。お兄さん方も申されておりますが、松也兄さんから隼人兄さんまで一区切りということで、僕と莟玉くんはおそらく来年以降も頑張ることになると思います。今年1年、今年の1ヶ月で、お兄さん方のいろんな素晴らしいところを吸収して、一生懸命に勤めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
中村莟玉:皆さん、明けましておめでとうございます。橋之助さんと私は見送る側ということで、ちょっと寂しい感じもしますけれども、僕も初めて出させていただいたのは、高校1年生でしたが、今27歳ということで、もうおじさんになりました(笑)。先輩たちを胸を張って見送れるような、いいひと月にしたいと思いますので、千秋楽まで応援のほどよろしくお願いいたします。

中村種之助、坂東巳之助、尾上松也、中村歌昇(右から)

中村種之助、坂東巳之助、尾上松也、中村歌昇(右から)

中村歌昇、坂東新悟、中村米吉、中村橋之助(右から)

中村歌昇、坂東新悟、中村米吉、中村橋之助(右から)

(質疑応答があると思っていた松也さん。「もう少し喋らせて下さい!」と2回目のご挨拶に……)
尾上松也:すみません。喋らしてください。皆さん、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。今、思い返せば、10年前、私どもの世代に任せていただくときになった年のことは忘れません。そのときにもこうして皆さんの前でお話しをさせていただいて。全員が不安もありながら期待を込めてですね、臨んでいました。本当にたくさんのことがありましたけれども、この浅草公演というのは地元の皆さんに支えられ、そしてお客さまの温かい心意気に支えられて、僕たちは10年間勤めることができました。
この浅草でいろいろな成長をさせていただき、そしてそれぞれが歌舞伎以外の舞台、ステージや歌舞伎の本興行に行ってもですね、「浅草でやり遂げた」という自信を持ってですね、勤めることができたと思います。そういった思いで成長させてくれた、この浅草歌舞伎という1月の公演をですね、とにかく僕たちは絶やすことなく、次の世代に繋がなくてはいけないという思いで10年間やってまいりました。そういう意味では、通常の公演の通りに、こうして公演ができる状態になり、また『浅草歌舞伎』が復活できて、次の世代にバトンタッチできることは非常に一安心しているところでございます。
 
私から隼人くんまでですね。具体的に言うと、私と歌昇くん、巳之助さん、新悟さん、種之助さん、米吉さん、隼人さん。この7名が一区切りでございますけれども、とはいえ、いつも通り精一杯1ヶ月勤めて、精進して、これからの僕たち以下の世代がですね、僕たちが憧れたようにこの浅草に憧れて、また成長し繋いでいってくれることを願って、僕たちも精進します。
 
本当に10年間ありがとうございました。もうこれで終わりみたいですけど(笑)、今から始まるので。精一杯勤めますので、連日ですね、皆さんの温かいご声援をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

取材・文・撮影=五月女菜穂