CS放送「衛星劇場」では、毎日平日午後4時から歌舞伎を放送している。3月は『髑髏尼』(どくろに)(2023年3月)と、『石川五右衛門』(2022年3月)をテレビ初放送する。

『髑髏尼』 は歌人・吉井勇が描いた異色の作品。亡き息子の髑髏を傍らに過ごす様子から髑髏尼と呼ばれるようになった美しき上臈・新中納言局を坂東玉三郎が勤める。
源氏による平家の公家狩り、平重衡と新中納言局との物語を結び付け、漂泊の歌人・吉井勇が描いた異色の作品。人々を惹きつける髑髏尼を軸に、秘法による幻想と現実が美しく混ざり合う、妖しく艶めかしいひと幕を堪能しよう。

『髑髏尼』    (C)松竹株式会社

『髑髏尼』    (C)松竹株式会社

 
美しき上臈・新中納言局は、平重衡との忘れ形見の壽王丸を源氏の武士に殺されてしまう。その様子に、この世の無常を嘆く阿証坊の印西。局はやがて奈良の尼寺へ入ると、亡き息子の髑髏を傍らに過ごす様子から、髑髏尼と呼ばれるように。この寺の鐘楼守の七兵衛という醜い男は、そんな髑髏尼に恋焦がれる日々を送っています。ある日、髑髏尼は秘法を手に入れ……。

『石川五右衛門』 は天下の大盗賊が活躍する奇想天外な物語。松本幸四郎が天下の大盗賊、石川五右衛門を勤め、つづら抜けの宙乗りを披露する。
豊臣秀吉の治世に天下を揺るがした実在の盗賊をモデルにさまざまな脚色がなされ、江戸庶民のヒーローとなった石川五右衛門。本作は先行作からの名場面や人気のせりふを再構成した、まさに集大成といえる作品。歌舞伎ならではの仕掛けで魅せる「つづら抜け」の宙乗りや、久吉(秀吉)との関係など、ロマンあふれる奇想天外な物語に期待しよう。

『増補双級巴 石川五右衛門』     (C)松竹株式会社

『増補双級巴 石川五右衛門』    (C)松竹株式会社

 
天下の大盗賊、石川五右衛門は、将軍の証である御正印を盗むため、勅使に化けて足利邸に乗り込むと、饗応役として現れた此下久吉と遭遇します。実は二人は、かつて同じ盗賊仲間であった幼馴染み。久しぶりの再会を懐かしむ二人ですが……。