2024年2月29日(木)東京・新宿シアタートップスにて、OFFICE SHIKA×新宿シアタートップス『9階団地のスーパースター』が開幕し、舞台写真が公開された。

第55回岸⽥國⼠戯曲賞 最終候補にノミネートされた『スーパースター』を14年越しにセルフリメイクした『9階団地のスーパースター』。キャストを一新して作られた今作は、丸尾丸一郎自身が脚本を2024年版にアップデートし、新解釈を加えた新たなシーンも満載で、演出も自ら手掛けた。丸尾節全開のビビッドでポップな笑いに包まれた、なのにひりひりとセンチメンタルに心を揺さぶる作品になっている。

      写真:和田咲子

      写真:和田咲子

物語の舞台となる「立花団地 10号棟の303号室」に集約したストイックな舞台美術、伊真吾の音楽、浅野康之の振付は、作品の骨子となる家族の物語、そして歌やダンスといったエンターテインメント要素を残しつつ、演出は「小劇場」という濃縮された空間を十二分に生かしている。

主人公の星川輝一(ぴかいち)を演じる山﨑晶吾は、芝居にライブハウスばりの歌、ダンスとそのポテンシャルを遺憾無く発揮し、物語と観客を引っ張って2時間を駆け抜ける。また、輝一の弟・瞬一を演じるのは、3年ぶりの舞台出演となる佐野岳。スター性と身体性を兼ね備え、輝一の対となるような「星を持っている存在」を唯一無二の存在感で演じる。輝一の少年時代を演じる小越春花(NGT48)の男役とキュートな関西弁と数々のライブパフォーマンスも見どころ。また、同級生のノロイを演じる相楽伊織の破壊力あるキャラクターをはじめ、キャストたちが縦横無尽に早替えで演じ分ける荒唐無稽で哀愁ただようキャラの数々に、気づけば2時間笑顔と涙で忙しい作品になっている。

ここでしか見られないキャストの一面がふんだんに盛り込まれた、コテコテに濃い、大阪純文学演劇を見逃さないでおこう。

      写真:和田咲子

      写真:和田咲子

さらに、今作の配信公演(3月9日・10日に実施)、そしてDVD&Blu-ray化も決定した。『9階団地のスーパースター』の熱量と圧倒的存在感を、劇場で、配信で、体感しよう。