2024年5月、よみうり大手町ホールにて上演する『ルール〜「十五少年漂流記」より〜』。この度、稽古場取材会が4月25日に行われ、その模様が届いた。

本作は、フランスのジュール・ヴェルヌが1888年に少年向けに発表した冒険小説『十五少年漂流記』を基に、上演台本と演出を朗読劇、音楽劇、ストレートプレイ、海外戯曲など多種多様な作品を数多く手掛け、常に繊細な心理描写と斬新な演出を得意とする鈴木勝秀が担当する。

主演を荒井敦史が務めるほか、嘉島陸、富栄ドラム、駒田一、さらには田中雄飛、飯原僚也(ダウ90000)、瀬谷直矢(劇団4ドル50セント)、翔、大友至恩というフレッシュかつ個性豊かなキャストが揃った。

この日の稽古では、3つのシーンが公開された。

まず、物語冒頭の孤島に漂流する前のプロローグ。それぞれが希望を持って乗船し、出自や年齢も違う8人が出逢う。だが、どんどんと雲行きも怪しくなっていく。

『ルール〜「十五少年漂流記」より〜』稽古場より

『ルール〜「十五少年漂流記」より〜』稽古場より

続いて、漂流した8人が孤島で共に過ごすために、ルールを決めるシーンが披露された。リーダーを定める等の“ルール”を決めながら8人はさまざまな思いを持って孤島での生活を送る。

最後に物語の終盤となる1シーンを公開。誰もいないと思いこれまで過ごしてきた島に、別の漂流者たちがいることに気がつく。そして、漂流者のひとりである操縦手のエバンズ(駒田)と出会い、ほかの漂流者たちの素性を知り、どう対峙するかを話し合うことになる。

『ルール〜「十五少年漂流記」より〜』稽古場より

『ルール〜「十五少年漂流記」より〜』稽古場より

稽古公開後、上演台本・演出の鈴木、荒井、嘉島、富栄、駒田が取材陣に向けて公演に向けた意気込みを語った。

最初に荒井は本作について「『十五少年漂流記』という、何もない孤島で人々が生きる希望を持って協力したり、時にぶつかったりして、社会の中でのあり方を表現している作品です。原作では少年たちですが、年齢設定を上げて、僕たちが等身大で演じることでリアリティを表現できるところもたくさんあると思うので、一生懸命表現していきたいと思います」と説明。
富栄や翔など、本作が初舞台というキャストもいるが、荒井は「みんなでやっていけば慣れていくのかなと思います。これからもっともっといい雰囲気になると思います」と共演者たちを鼓舞した。
初舞台でも鈴木の演出を受けているという嘉島は、鈴木の演出について「役者に考えさせる余地が大きいと、前回の稽古でも今回の稽古でも感じています。役にとらわれない表現にチャレンジできるのは鈴勝さんの稽古場ならではだと思います」と話した。
テレビドラマで言葉を話さない役柄を演じて大きな話題となった富栄は、初めての舞台出演への思いを「とうとう喋る時がきたかと思いました」と笑って明かした。そして、「やってみないと分からないこともありますが、今までの経験では頑張れば結果がついてくると思っています。今、エンジンもかかってきました。頑張ります」と意気込んだ。
今回は、数少ない大人の役を演じる駒田は「(本作の脚本を読んで)ルールって軽視されている瞬間がたくさんあるけれども、囲われた中でルールを作っていくとぶつかったり、色々なことが起きるんだなということを改めて感じました。若いっていいなと思いつつ、(大人たちと)良い合わさり方ができたら面白いものが生まれてくるのかなと思います」と本作に思いを寄せる。

そして、鈴木は「子どもの頃にこの原作を読むとワクワクドキドキの冒険活劇という印象がありましたが、今読むと、少年たちが元いた世界を真似てルールを決めて、社会を作っていこうとする物語でもあります。そこには、昨今の世界情勢も含めて、色々なことが凝縮されている気がします。今回は、大学生や大学院生という年齢設定にし、新たにルールを作っていく中でどんなことが起こるのかをメインに描いたので、タイトルも『ルール』としています」とタイトルについて言及した。

取材会の最後に荒井は、改めて本作の魅力を「劇場に来て、目の前で繰り広げられているこの世界観を感じて、一緒にいるかのように観ることができるのが舞台の楽しみ方のひとつだと思います」と語り、「僕たちは本番を迎えるまでにより良い作品になるよう頑張りますので、劇場に足を運んでこの世界観を楽しんでいただければと思います」と呼びかけた。

キャストコメント

■荒井敦史
今の社会に照らし合わせて、忘れているものを思い出したり、“人間ってそうだよな”と考えたり、色々な楽しみ方ができる作品です。本番までに良いものに仕上げたいと思っています。

■嘉島陸
稽古が始まって登場人物のイメージが湧いてきているので、このカンパニーでどういう「十五少年漂流記」の世界観ができるのか楽しみです。

■富栄ドラム
舞台に出演するのは初めてです。今の時点では全く納得のいかない芝居なので、いっぱい稽古して、ただただ全力で頑張るのみだと思っています。皆さんと協力して素晴らしいものができればと思います。

■駒田一
稽古場内は、若いエキスが充満していて、40年前は僕もこうだったなと思い返しています。若い皆さんからエネルギーやパワーをいただき、僕も一緒になって血と汗と涙を出しながら戦っていきたいと思います。

■田中雄飛
稽古を重ねていくうちに、そして日を増すごとにお客さまに届けたいという思いも強くなっています。早く皆さんとこの世界観を共有できたらいいなと思っています。

■飯原僚也(ダウ90000)
今回の稽古場は、初めての経験ばかりです。色々なことを吸収して、本番までにより高みにいけたらいいなと思います。

■瀬谷直矢(劇団4ドル50セント)
僕はまだ緊張が抜けていませんが、和気あいあいとした稽古場なので、これから本番まで精一杯頑張りたいと思います。

■翔
僕にとっては初めての舞台、稽古なので、分からないことだらけです。とにかくみんなと頑張って、より良い舞台を見せられるように必死に頑張ります。

■大友至恩
学ぶことも多く、分からないことだらけですが、教えていただくごとに気付ける嬉しさも感じています。幼少期の頃に原作を読んで感じたワクワク感を伝えられたらいいなと思います。

上演台本・演出:鈴木勝秀 コメント

まだ稽古はこれからも続きますが、だいぶいい感じになってきています。方向性ははっきりしているので、その中で稽古を重ねていけば、きっと良いものがお見せできるのではないかと思っております。