【谷口キヨコのごきげん!? SOLOライフ】猫のお話、第4話です。前回もお話しました、私の寂しさを紛らわすために連れてこられた銀次郎くん。先住猫の金太郎くんとは年の差14歳、仲良くはなりませんでしたが、それでも一緒に住んでいました。ほんま、今思うと2匹には申し訳ないです、あんな狭いところで…。

 こんな状態が1年半続いた夏の終わりに父が亡くなりました。西宮の実家に高齢の母を1人でおいておくわけにもいかず、京都に来てもらうことにしました。3カ月ほど2人で暮らしましたが、大人2人猫2匹では、狭くて狭くて…私が銀次郎くんを連れて近所に部屋を借りることになったんです。ここで先住猫金太郎くんと新入り猫銀次郎くんの2匹にとっては居心地の良くない同居生活は終わったのでした。

 やっと自分だけの城で悠々自適の銀次郎くん。私にもくっつきまくりの甘えまくり、とにかく私のことを独り占め、お部屋も独り占めできてそれを謳歌(おうか)していたように見えていましたが…。実は彼に病魔が迫っていたのです。

 ある夜、帰宅したら部屋に点々と血が…。その先にぎんちゃんが倒れていました。夜中もやっている動物愛護センターに行って救急で診てもらうと、ぎんちゃんは尿が出せずに出血していました。とにかく応急措置をしてもらい夜中に帰宅。朝一番でかかりつけの先生のところに。ぎんちゃんは尿結石でおしっこが出てなかったようでした。

 そういえば、その前の1週間ほどは猫のトイレに入ってもトイレの砂を何回も何回も足でかいて(猫は、猫のトイレの中に砂みたいなものを敷き詰めてその上で用を足します。出したうんちやおしっこを天敵に見られないよう、足で砂をかいて隠すようにその上にかぶせます)。その『ザッザッザッザッ』という音がずっと続くので私も寝られない日々でした。

 少ないながらもおしっこは出ていたので、そんなに気にはしていなかったのですが、食欲もあまりないようでした…。この「食欲がない」というのは、しゃべられない猫にとっては大きな大きな不調のサインで、ここをスルーしてしまったのは完全なる私の責任です。ぎんちゃんの苦しみに気づかなかったんです。

 言い訳ですが、長男の金太郎くんは病気を一度もしたことがなく、ほんまに元気な猫さんでした。なので、猫の不調というのは若いうちはないもんや、と思っていました。言い訳です。

 おしっこの通りの悪い尿道は、もうどうにもなりませんでした。大きな結石が尿道をふさいでしまっていて…かかりつけの先生はその尿道を捨て「シン(新)尿道」をつくる作戦にでました。新しい尿道形成手術が始まったのです。

 ぎんちゃんは見事に耐え、手術は成功! しかし、その後、作りたての「シン(新)尿道」からスムーズにおしっこが出ず、でもぎんちゃんは病院のケージは嫌みたいで…私が面会に行ったときには口唇をかんで飲食を拒否するそぶりを見せたのです!マジで、ほんまに!猫やのに口唇かんだんやもん!

 事実、病院では食べない飲まないだったので、とにかく家に連れて帰ると飲食をする。でもやっぱりおしっこの出がよくない。ここから入退院を三度繰り返してなんとか完治。ついにぎんちゃんの「シン(新)尿道」は機能し始めたのです!

 でも、その入退院でよっぽど辛くて寂しくて鳴いたのでしょう、彼の声はそれ以来ガラガラです。「にゃあ」じゃなくてどんなに甘えてくるときでも「ぎゃあ」です。でもこれは彼がめちゃ頑張ってシン(新)尿道を手に入れた証拠なのです!だからあまりかわいくない鳴き声でも、そんなんはいいんです!

 しかし! 彼の苦難はまだ続きます。その7年後、ぎんちゃんは再び7時間の手術に挑むことになるのです。