将棋の第72期王座戦の本戦、挑戦者決定トーナメントの1回戦が大阪・関西将棋会館で指され、糸谷哲郎八段(35)が千田翔太八段(30)に79手で勝利した。糸谷は藤井聡太王座(21)=王将を含む8冠=への挑戦を目指し、次戦準々決勝で羽生善治九段(53)と対戦する。

 糸谷が王座戦挑戦者決定トーナメントで勝利するのは第64期以来8年ぶり。当時、1回戦で深浦康市九段(52)に勝利すると羽生との5番勝負まで進出した。

 振り駒の結果、糸谷が先手になり、戦型は角換わりになった。糸谷は右銀を3筋から使う早繰り銀を採用。千田は、この糸谷銀を標的に十字飛車で迎え撃った。

 千田が糸谷陣へ駒台から角を放って馬に成り返ると、糸谷はその馬と自身の飛車を交換。さらに61手目、飛車金両取りの自陣角を打って優勢になった。最後は千田王を右辺から馬、左辺からと金、上部は2枚桂で包むように寄せて持ち時間5時間のうち半分の2時間29分を余す快勝だった。

 すでに8強に進出しているのは糸谷、羽生以外では、菅井竜也八段(32)、鈴木大介九段(49)、佐々木大地七段(28)、広瀬章人九段(37)。5番勝負は例年秋開催。