大相撲の十両・伯桜鵬(20=伊勢ケ浜部屋)が9日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で夏場所(12日初日、東京・両国国技館)に向けての稽古を行った。

 まず幕下以上の申し合いに参加して11番。熱海富士、翠富士、錦富士の幕内力士3人を含むレベルの高いメンバーと中身の濃い稽古を繰り広げた。その後、横綱・照ノ富士(32)の胸を借りて稽古をつけてもらう「あんま」を17本こなした。

 最初の3本は一丁押しに近い形式。4本目から照ノ富士がしっかり残すようになり、徐々に実戦に近いキツい内容へと変わっていった。伯桜鵬がもろ差しで懸命に前に出ようとするも照ノ富士は動かず。「おまえの力を出すためにやっているんだ!おまえが待っててどうする、力出し切れ」と横綱からゲキが飛んだ。

 9本目は、伯桜鵬がもろ差しで攻めきれなくなると照ノ富士も攻め返してくるように。上手投げで振ってからの豪快な二枚蹴りで転がされた。その後、照ノ富士が立ち合い鋭く踏み込む“本気モード”が2番。照ノ富士が速い攻めを見せて下手投げやつり落とし気味に転がすなど力の違いを示した。

 その後は再び照ノ富士が受ける形の「あんま」に戻り、伯桜鵬は息も絶え絶えになりながら懸命に攻め続けた。宮城野親方(元横綱・白鵬)から「これが大相撲だよ」「まだ子供の顔をしている。漢(おとこ)の顔になってない」と励ましの声を受けながら、全力を出し尽くした。

 照ノ富士の胸を借りるのは、ぶつかり稽古も含めてこの日が初めて。宮城野部屋閉鎖による転籍で同部屋となった横綱に初めて稽古をつけてもらい「重いです」と率直な感想を述べた上で「本当にありがたいです」と感謝した。指摘されていたことは自身の弱点でもあり「今までの自分の甘さや弱さを痛感している。一つ一つ自分がやるかやらないか、必死に頑張るだけ。その言葉を肝に銘じて頑張りたい」と気持ちを新たにした。

 さらに「入門してから番付とか目先の場所で何勝するかとか、そういうのばかり意識していた」とこれまでの考え方を反省。「今しかできないから、3年後、5年後を見据えて稽古しないと終わっちゃうぞ」と横綱から助言を受けたという。

 宮城野部屋閉鎖による転籍から1カ月。「めちゃくちゃ充実した稽古ができています。この部屋の関取衆は本当に強いと思って自分の弱さに気付いた。必死に食らいついていきたい」。関取7人を誇る“最強部屋”で、さらなる進化を誓った。