“大男”が相手を見下ろすように、打者と対峙(たいじ)した。日本ハム・伊藤は、7回6安打3失点と試合をつくった。勝敗は付かなかったが、サヨナラ勝利につなげ「あまり状態が良くない中でかわしていった。今日はふわふわしている感じがあったので、去年だったら5点は取られていた」と自身も成長を感じる粘投だった。

 初回の立ち上がりは完璧。2番・藤岡から見逃し三振を奪うなど3者凡退とし、2回も打者3人で終えた。ただ、悔やまれたのが先制してもらった直後の4回のポランコの2ラン、7回の山口のソロの2被弾だった。前回の本拠地登板だった5日の西武戦でもコルデロにソロを浴び、「一発の失点が多いのが課題」と今後の教訓として残った。

 一方、グラウンド外でも“伊藤大海”のワードがネットをにぎわせた。この日までに、「2024プロ野球チップス第1弾」を販売するカルビー社が、公式サイトで選手カードのプロフィル欄に誤表記があったと謝罪。その対象選手が伊藤だった。身長を「176センチ」とすべきところを「176m」としていた。自身の知らないところで高層ビルに匹敵する“大巨人”となってしまったが「一瞬でも背が高い夢を見せてくれたので感謝したいなって」と笑って好意的に受け止めた。

 開幕投手として、意地のクオリティースタート(6回以上、自責3以下)でまとめ、まだ今季黒星は付いていない。「しっかり点を取ってもらったのは凄く助かった。次は僕が助ける番なので、しっかりゲームメークしたい」と覚悟を見せる。粘り強く上位争いを繰り広げるチームの中心に、伊藤がいる。(田中 健人)