◇セ・リーグ DeNA6―5ヤクルト(2024年5月6日 横浜)

 メジャーから5年ぶりにDeNAに復帰した筒香嘉智外野手(32)が6日、ヤクルト戦で1軍昇格即「6番・左翼」で先発出場。2点を追う8回2死一、二塁で逆転の1号3ランを右中間席に運ぶなど2安打3打点、1四球でチームの勝率5割復帰と2位タイ浮上に貢献した。大型連休最終日で横浜スタジアムには3万3284人が来場。2軍戦は6試合で打率・176と苦しんだ主砲が大歓声に背中を押され、鮮烈な光を放った。

 スタンドから降り注ぐ大歓声。右手人さし指を突き上げ、ダイヤモンドを回る。あまりにも劇的な復帰弾。これが筒香だ。「ハマの大砲」が帰ってきた。

 「まだ点差があったので、強い打球を打つことを心がけた。これだけのファンの皆さまの前でプレーできて本当に幸せ。ダイヤモンドを一周している時は、特別な時間でした」

 2―5で迎えた8回だった。1点を返し、なお2死一、二塁。エスパーダの初球の直球を強振した。打球はファンの待つ右中間席へ。ベンチの仲間へ向けて雄叫びを発しながら走り出した。完璧な逆転1号3ラン。何と叫んだかは覚えてない。ただ、込み上げる感情を抑えながら走った。

 19年10月7日の阪神とのCSファーストS第3戦以来の1軍戦。大リーグでは思うような結果を残せなかったが、復帰を決めた古巣で5年前と変わらぬ景色が待っていた。初回は平凡な左飛を捕るだけで大歓声。懐かしい応援歌に背中を押された2回の初打席は球界最年長44歳左腕の石川から四球を選んだ。7回は星から左中間フェンス最上部直撃の二塁打。あと数十センチで本塁打の一打に、ベンチに戻ると「ご飯をもっと食べろ」といじられたが「自分のバロメーターが逆方向。いい感触で最後の打席に入れた」と振り返った。

 2軍で調整した6試合は計17打数3安打で打率・176と苦しんだ。それでも課題だった日米投手の間合いの差に対応。何よりもスタンドを埋めたファンが活躍できる空気をつくってくれた。レギュラーシーズンでの本塁打は19年9月14日のヤクルト戦以来、1696日ぶり。「本当に感謝しかない」と繰り返した。

 米球界から復帰初戦での本塁打は15人目で初。「やってくれたね。さすがです。背中が大きく見えた」と絶賛した三浦監督は「試合後のロッカーがえらいことになっていた」と明かした。いるだけで雰囲気を変える。頼もしい男が帰ってきた。(秋村 誠人)

 ≪日本復帰15人目で初の復帰初戦本塁打≫筒香(D)が日本復帰初戦で決勝本塁打。公式戦での本塁打は19年9月14日ヤクルト戦(横浜)で石川から放って以来1696日ぶりだ。過去に米球団から日本に復帰した野手は22年秋山(広)まで14人。そのうち13人が復帰初戦で安打をマークしていたが、本塁打、決勝打はいずれも筒香が初めてとなった。