◇パ・リーグ ロッテ8―1西武(2024年5月6日 ZOZOマリン)

 ロッテ・種市が“千賀グラブ”を左手に、代名詞のお化けフォークをほうふつさせた。上空はZOZOマリン特有の常時風速10メートル超えの強風。「風のおかげで凄い落ちた」というフォークを駆使して7回を散発3安打で無失点、6奪三振で2勝目を挙げた。

 「ふがいない投球が続き、流れを変えたかった」。3月30日の日本ハム戦を最後に4試合も勝利から遠ざかり、その間に3敗。そこで19年の合同自主トレで当時ソフトバンクだった千賀(現メッツ)からもらったグラブを初めて使用した。フォークの握りや腕の振りを習った右腕に「使ってくれ」と渡された宝物で家に飾っていた。

 前回4月29日の楽天戦は8四死球と乱れたが、「背中の方に重心を置いて立つようにした」とセットポジション時の立ち方を変えて今回は四球と死球が1つずつ。20年のトミー・ジョン手術も乗り越えた右腕は最速151キロの直球と、かつて千賀に絶賛されてパドレス・ダルビッシュも動画チャンネル内で紹介したフォークのコンビネーションもさえた。

 海の向こうの千賀の登板は全てテレビでチェックし「悪くなったら思い返している」と今でもフォークの教えが生きている。この日から毎日オリオンズ時代のロゴをモチーフにした新ユニホームも着用。気分を一新した右腕がチームを3連勝&勝率5割に復帰させた。(神田 佑)