日本高野連は19日、大阪市内で今夏の第106回全国高校野球選手権大会(8月7日から17日間)の第2回運営委員会を開き、一部日程で試合開始時間を午前と夕方に分ける「2部制」の導入を承認した。対象日は1日の試合数が3試合の第1日から第3日までで、熱中症対策の一環として大会史上初めて実施される。

 22年から導入が検討されてきた2部制は、1日3試合日の3日間に条件を限定して実施することが決まった。日本高野連の井本亘事務局長は「何か一歩を踏み出さないと次の展開が見えてこない」と説明。喫緊の課題である暑さ対策について甲子園史上初となる取り組みに踏み切った。

 開会式のある第1日は午前中に1試合、午後4時から残り2試合を実施。第2、3日は、午前中に2試合、午後5時から残り1試合を行う。観客が入れ替わる際の雑踏事故を防ぐため、午前と夕方の部の間隔は2時間30分以上確保されることになる。そのため、第1日の第1試合が午後1時30分、第2、3日の第2試合が同2時30分に終了していない場合は、原則として翌日以降の継続試合となる。

 主催者である朝日新聞の志方浩文大阪本社代表室高校野球総合センター長は、「最終形とは思っていない。まず2部制をやることで課題を洗い出し、今後の4試合日の2部制実施の可能性について探っていきたい」と言及した。第2、3日の午前の部に2試合を実施するのは、将来的な4試合日での同制度導入に向けて課題を把握する狙いがある。部分的な2部制の導入は、夏の甲子園を安全に継続していくための改革の一歩に過ぎない。 (河合 洋介)

 《決勝は10時開始に》2部制実施日の来場者は、午前の部と夕方の部の間に球場に居残ることはできない。入場券は午前と夕方の部に分かれ、一日通し券の半額程度の金額で販売される。2部制は8月7〜9日に限るため、降雨順延などで1日3試合日が同10日以降に開催される場合は、2部制ではなく3試合を連続して行う。また、準決勝は昨年から1時間早まり、第1試合が午前8時、第2試合が午前10時35分開始。昨年は午後2時だった決勝の開始時間は10時に変更された。

 《変更》5回裏終了時のクーリングタイムについて、午後4時以降に始まる試合では原則として実施せず、ウオーミングアップ開始時間は終了3分前、6回表から新たに登板する投手は終了5分前から可能とする。第1試合で熱中症の症状を発症する事例が散見されたため、第1試合に出場する2校に主催者から試合前の補食が提供される。