ソフトバンクの栗原陵矢内野手(27)が12日、お待たせの今季1号を誓った。同日のオリックス戦が降雨により中止となり、チームは鹿児島市内の室内練習場で全体練習を実施。母の日仕様だった桃色の特別バットで室内で打ち込んだ栗原は、故郷の福井県に住む母・ルミさんに早くアーチを届けたいと語った。5試合連続安打中と打撃の調子は上昇中。ノーアーチの日々に終止符を打つ日は近い。

 室内練習場は母の日仕様のピンク色のバットを手にした選手が目立った。栗原もその一人。力強いスイングを繰り返し、母への思いを強くしていた。

 「いつもホームランを打ったときだけLINEをしてくれます。今年まだ打ってないので。頑張って打ちたいですね。母ちゃんのためにも」

 母の日の前祝いは見事だった。宮崎で開催された前日11日のオリックス戦では2安打2打点。「いつも陰ながら応援してくれていますし感謝しかない」と地元・福井県に住む母・ルミさんへの思いを語っていた。また、宮崎は昨秋に結婚したモデルの愛甲千笑美さんの出身地。「パワーをもらいましたね」と照れながら笑みを浮かべていた。

 4日の西武戦から5試合連続安打と調子は上昇中だ。4月に打率・091まで低迷していたが、同・243まで回復。11日の2安打は中堅方向へ放った。小久保監督は「反対方向の打球が伸びるようになってきた。前に出たがる後ろの肩、左肩が収まって打球の押し込みができている。いい兆しやと思うよ」と復調のシグナルを感じ取っている。

 栗原は「ライト方向に打ちたかったんですよ」と、手応えとともに欲も出てきている。今季33試合に出場して本塁打なし。主力として定着した20年は開幕8戦目、21年は同3戦目、22年は同2戦目にシーズン1号を放ち、昨季は開幕から2戦連発だった。指揮官は「オープン戦ではポンポン出たのにまだ本塁打なし。気持ち悪いと思うよ。(自身の現役時代は)そんな打たなかったシーズンはない。もっと早よ打っとったわ」とハッパをかけた。栗原が完全復調すればリーグ断トツの143得点を挙げている打線はさらに破壊力が増す。

 あす14日からは仙台での楽天戦。栗原は昨年7月7日に楽天モバイルパークで一発を披露した。七夕の夜以来となる同地でのアーチで故郷の母を喜ばせる。(井上 満夫)