美人勝負師の最終結論
熊江琉衣〜皐月賞編


皐月賞の予想をしてくれた熊江琉衣さん。photo by Imaizumi Kakeru

 この春は、GI大阪杯や地方交流GIの川崎記念で馬券を当てることができ、調子はまずまずといったところでしょうか。ここから、さらに勢いに乗っていくためにも、今週のGI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)は何としても的中させたいと思っています。

 実力伯仲のメンバー構成。臨戦過程もさまざまで、本当に"大混戦"と言えますね。そんななか、私が本命に指名したのは、シンエンペラーです。

 勝ちきれるかわかりませんが、安定感があって「軸に適している」という意味で選びました。今年はスローな展開のレースしか経験していない馬が多いなかで、この馬は速い流れの競馬も経験済み。先行馬有利の皐月賞にあって、前につけられる強みがあり、長くいい脚を使えるのも大きな武器です。

 血統面も、全兄に凱旋門賞馬ソットサスがいる超良血馬。父シユーニは日本でほとんど実績のない種牡馬ですが、ここ最近の皐月賞では、ディープインパクト系やキングカメハメハ系といった"主流血統"以外の馬の活躍が目立っています。その点も、同馬にとっては追い風になるのではないでしょうか。

 坂井瑠星騎手が鞍上を務めるのも頼もしいですね。近年はGIでもコンスタントに勝ち星を挙げており、今年はさらなる飛躍が見込めそう。矢作芳人調教師&坂井騎手の"師弟コンビ"による戴冠を期待しています。

 対抗はかなり悩みましたが、レガレイラにしました。GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)を制して、牡馬相手にも通用することを証明。完成度も高いです。新馬戦では函館のレースを勝っており、直線が短いコースも合っていると思います。

 主戦のクリストフ・ルメール騎手が負傷で乗れなくなって不安もありましたが、代わってコンビを組むのは北村宏司騎手。調教にも乗って感触をつかんでいるようですから、そこまで心配はいらないでしょう。追い切りの動きもよく、強豪牡馬相手でも再び上位争いを演じてくれると思っています。

 ▲は、ジャスティンミラノ。GIII共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)では、デビュー2戦目ながら余裕のある走りで快勝。スローの上がり勝負だったので参考にしづらい面はありますが、底知れない素質を感じました。

 何より魅力は臨戦過程です。前走・共同通信杯組は、過去10年で5勝、3着3回。最も馬券圏内(3着以内)にきており、同馬も無視することはできません。

 特注の☆は、サンライズアース。レイデオロ産駒は中山で好成績を収めており、3月末にも2勝を挙げています。この馬自身は今回が初めての中山となりますが、きっと適性はあると思います。

 前走のリステッド競走・すみれS(2月24日/阪神・芝2200m)では、途中から先頭に立つ競馬で押しきりました。鞍上のミルコ・デムーロ騎手も、レース後に「能力が高い」とコメント。この馬の能力を買っている証拠でしょう。

 かなりの混戦模様ゆえ、△は手広く3頭。1頭目は、コスモキュランダです。

 前走のGII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)では、シンエンペラーを抑えて勝利。相手は余裕残しの仕上げだったとしても、それを負かしたのは大きいですし、内容的にも申し分ありませんでした。

 今回、鞍上がジョアン・モレイラ騎手というのも心強い限り。馬場は不問ですし、皐月賞馬のアルアインが父ということで、血統的にもこの舞台は合っていると思います。

 2頭目は、ジャンタルマンタル。前走の共同通信杯で初黒星を喫したとはいえ、勝ち馬とはコンマ2秒差の2着。先を見据えてのレースだったことを思えば、悪い結果ではありません。レースぶりも自在性があり、堅実です。

 父パレスマリスは馴染みのない血統ですが、GIIIシンザン記念(1月8日/京都・芝1600m)を勝ったノーブルロジャーも出していて、日本に合っている印象。本質的にはマイラーのような気もしますが、皐月賞はレースセンスのよさで距離をカバーできると思います。

 3頭目は、エコロヴァルツです。追い込んで好走したこともありますが、本来は先行して長くいい脚が使えるタイプ。その点、中山との相性は悪くないと思います。

 前走の共同通信杯5着という結果から、人気落ちが予想されますが、超スローの上がり勝負がこの馬には不向きだったのは明らか。今回は同じような展開にならないと思いますし、手綱をとるのはレジェンド武豊騎手ですから、軽視は禁物です。

 他にも気になる馬がたくさんいて、ここまで絞るのも大変でした。それだけ、難しいレースと言えますよね。馬券は、◎シンエンペラー、〇レガレイラ、▲ジャスティンミラノの馬連BOXと、シンエンペラーを軸にして印をつけた馬に流す3連複で勝負しようと思っています。

 はたして、どの馬が栄冠をつかむのか。レースが待ち遠しいです。

著者:河合力●取材・構成 text by Kawai chikara