世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)を巡る“米国進出論争”に対して、井上のプロモーターを務めるトップランク社のトッド・デュボーフ副社長が一石を投じたと、現地専門メディア『ボクシング・シーン』が報じた。

■「わがままを言うと、(井上を)アメリカに迎えたい」

デュボーフ氏は、“論争”の火種となった、元WBC世界ウエルター級王者・ショーン・ポーター氏の「世界的なスーパースターになるためには、アメリカを征服する必要がある」という旨の発言に対し、「私はまったくそれに同意しない」と猛反論。

「わがままを言うと、私は(井上を)アメリカに迎えたいと思っている。彼は天才だ」とした上で、「しかし、彼は自分を非常によくサポートしてくれる市場にいる。彼はアメリカに行く必要はない」との見解を述べた。

その理由について、「パッキャオの場合、フィリピン(出身地)は、資源不足の経済だ。日本は経済が完全に発展しており、大きなスタジアムや大きなメディアプラットフォームがある」と指摘。

さらに、メジャーリーグで活躍中のドジャース大谷翔平投手も例に挙げ、「オオタニは(メジャーリーグに)行かなければならなかった、なぜならそこが野球をするのに最も充実した、最も適した場所だったからだ。日本には彼が野球選手として成長するのに最適な場所がなかった。彼(井上)は日本で行うこともできるし、アメリカでもできるし、我らのウェンブリー(ロンドンのスタジアム)でもできる」と述べ、井上は米国に行く理由がないとした。

さらに、「『スターになるためにアメリカに来る必要がある』との発言は、少しナルシストだ」とチクリ。「それは非常に浅い視点だと思う。アメリカに行く必要はない。イノウエが試合をすると、すべてのプラットフォームで世界的にトレンドになる。(試合を)ライブ配信することで、誰もがそれを見ることができる。だから、スーパースターになるためにアメリカで戦わなければならないと考えるのは、少し利己的だ」と私見を述べた。

最後にデュボーフ氏は、井上を米国に迎えたい理由も語り、「私たちの目的のために、彼をアメリカで愛したいと思っている!その小さな宝石をできるだけ家の近くに持って行きたいのだ」とあくまで一個人の願望であることを強調した。