DisGOONieがお届けする初の2.5次元舞台作品、DisGOONie×講談社Vol.1こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ提携公演舞台『ヴィンランド・サガ』〜海の果ての果て 篇〜/〜英雄復活 篇〜。
4月19日より始まる公演を前に、原作者・幸村誠と、舞台版の脚本・演出を務める西田大輔の対談を敢行。連載開始時からずっと読み続けてきたという『ヴィンランド・サガ』ファンの西田は、はたしてこの壮大なストーリーをどうやって舞台に現出させるのか。そして、それを生みの親である幸村はどう受け止めたのか――。
誰も見たことのない挑戦の一端を探る。

僕が描きたいものをきちんと物語にしてくれていた

――西田さんの書いた脚本をお読みになって、幸村先生はどんなことをお感じになりましたか。

幸村:僕が『ヴィンランド・サガ』を通して描きたいと思ったのは、“人は変わる”ということでした。今回、脚本を読ませていただいたときに、僕が何も言わずとも、そこをきちんと拾い上げて物語にしてくださっていて、この人にお任せすれば大丈夫だと思いました。本当にありがとうございます。

西田:いや、こちらこそ光栄です。

幸村:難しいと思うんですよ。上演時間の限られている演劇というフォーマットで、人の成長を描くのって。それには、短い時間の中でちゃんと人が何かしらの経験を得て変わる瞬間を切り取らなくちゃいけない。まだ出来上がりを拝見していないので、断定するようなことは言えませんが、そこにチャレンジしようとしてくださっている姿勢をすでに脚本から十分に感じられたことがうれしかったし、僕が『ヴィンランド・サガ』で描きたいのはこれだったと再発見させてもらったような気持ちでした。

西田:尺の問題は、確かに大きなハードルでした。僕自身、漫画やアニメを原作とした舞台化に携わる機会が多いのですが、時間の制約上、どうしても端折らなければいけないところはあって。そのたびに「どうしてあのエピソードをカットしたんだ」という原作ファンのみなさんの声に胸の痛む思いがあったんですね。この『ヴィンランド・サガ』に関しては、僕自身が19年来の大ファン。だからこそ、できる限り先生の描いた世界をそのままちゃんと描きたいという思いがありました。今回、2本立てにしたのも、僕が見たい『ヴィンランド・サガ』を全部やるためには、これだけのボリュームが必要だと思ったからなんです。

原作ファンのみなさんの気持ちを壊したくない
――幸村先生から、舞台化にあたって何かオーダーしたことはありますか。

幸村:実はまったくないんです。

西田:今回せっかくこうして対談をさせていただけるので、先生からぜひともこれをやってほしいというオーダーがあれば聞きたいなと思っていたんです。遠慮なくおっしゃってください。

幸村:本当に何もないんです。それは決して今回の舞台化に対して思い入れがないとか、そういうわけではなくて。メディアミックスに対しては作家さんごとにいろんな考えがあられると思いますが、僕自身は自分の描いたものが別のメディアに姿を変えるときは、むしろ原作と違いがあるほうがうれしいんです。原作通りにやってくれ、という思いはまったくない。アニメ化のときも同じ気持ちでした。でも(アニメ版を担当した)薮田(修平)監督にはまったく信じてもらえなくて。「幸村さんは本当は不満があるけど、我慢しているんだ」と思われていたみたいで、そうじゃないんだと説得するのに時間がかかりました(笑)

西田:(笑)。

幸村:別のメディアと言っても、アニメの場合は同じ絵ですから、想像がつくところがあります。でも、舞台は生身の人間が演じるわけですから、もう根本から違う。一体どんな変化が生まれるんだろうと今から楽しみにしています。

西田:僕としては、この物語を立体化していくにあたって、原作ファンのみなさんの気持ちを壊したくないというのが一番にあります。だから、今回の挑戦は、自分が原作を読んだときに面白いと感じたものに、舞台という立体空間で、生身の人間たちに
よってどこまで近づくことができるか。それに尽きます。

幸村:やっぱり殺陣の練習とかされるんですか。

西田:めちゃくちゃやります(笑)。殺陣は僕がつけるので、とにかく原作の世界と齟齬がないように。原作ではあれだけの大人数が出てきて戦うわけですが、残念ながら舞台で同じ人数を出すことは不可能。でも、ちゃんと先生が描いた戦場の臨場感を観客のみなさんに感じていただけるようなアクションを今から考えています。

幸村:僕自身が脚本を読んだときに、かつて自分が描いたものを追体験した感覚になったように、きっと原作を愛してくださっているファンのみなさんが舞台をご覧になったら、もう一度、物語を最初から体験し直しているような気分になれると思うんですね。我ながら陳腐な表現でお恥ずかしいですが、今、頭にパッと思い浮かんだ言葉をそのまま言うと、これは“味変”です。きっと長く応援してくださっている方ほど、そろそろ味がしなくなってきたなと思いながら、口の中でモグモグしていらっしゃると思うんです(笑)。この舞台化は、新しくなった『ヴィンランド・サガ』の味を食べる絶好の機会。新しいメディアで、新しい世界観で生まれた『ヴィンランド・サガ』の味をぜひ多くの人に楽しんでほしいですね。

幸村×西田ふたりのこの対談は、舞台『ヴィンランド・サガ』公式HPにて掲載されている。
https://disgoonie.jp/vinlandsaga/

さらに、ふたりの対談は、作品作りに向き合う互いの姿勢をリスペクトし合い深く語られ、長時間に及んだ。
その内容は、4月19日から始まる舞台『ヴィンランド・サガ』〜海の果ての果て 篇〜/〜英雄復活 篇〜の劇場売りパンフレットに掲載される予定だ。

ストーリー
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の集団、ヴァイキング。
最強と謳われた戦士の息子トルフィンは、幼くして戦場を生き場所とし、幻の大陸”ヴィンランド”を目指す――
「海の果ての果て 篇」では、何故トルフィンが復讐鬼になっていったのか――
かつての記憶、アシェラッドとの出会い、父トールズへの想いを描き、
「英雄復活 篇」では、政権争いの過酷な王家の中で育ってきたために
臆病であるデンマークの第二王子、クヌートからの視点を中心に描く。
そしてトルフィンという人物、クヌートの人生、
一人の青年と一人の王子の成長を追うそれぞれの作品が織り成す対比で、物語はより深みを増す。

激動の時代で巻き起こる、本当の戦士の物語サガ。

公演概要
タイトル
舞台『ヴィンランド・サガ』〜海の果ての果て 篇〜
舞台『ヴィンランド・サガ』〜英雄復活 篇〜

日程・会場:2024年4月19日(金)〜29日(月・祝) こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ

出演キャスト
舞台『ヴィンランド・サガ』〜海の果ての果て 篇〜
橋本祥平 北村諒
中村誠治郎 林野健志 磯貝龍乎 村田洋二郎 山崎紗彩
佐久間祐人 林田航平 加藤靖久 澤田拓郎 本間健大 書川勇輝
萩野崇

田嶋悠理 田上健太 中土井俊允 窪寺直
梅津大輝 中村天河 巽imustat 岡本麻海 松野咲紀 木村つかさ 樽谷笑里奈

舞台『ヴィンランド・サガ』 〜英雄復活 篇〜
橋本祥平 北村諒
中村誠治郎 林野健志 磯貝龍乎 村田洋二郎
佐久間祐人 林田航平 加藤靖久 澤田拓郎 本間健大 書川勇輝
萩野崇

田嶋悠理 田上健太 中土井俊允 窪寺直
梅津大輝 中村天河 巽imustat 岡本麻海 松野咲紀 木村つかさ 樽谷笑里奈

チケットに関する問い合わせ
Mitt 03-6265-3201(平日12:00〜17:00)

製作スタッフ
原作:幸村誠『ヴィンランド・サガ』(講談社「アフタヌーン」連載)
脚本・演出:西田大輔
企画・製作:舞台『ヴィンランド・サガ』2024製作委員会
主催:DisGOONie/講談社

公式サイト https://disgoonie.jp/vinlandsaga

公式X(Twitter) https://twitter.com/disgoonie

(C)幸村誠・講談社/舞台『ヴィンランド・サガ』2024製作委員会

公演に関する問い合わせ:株式会社ディスグーニー
TEL 03-6303-2690 info@disgoonie.jp

取材・文:横川良明 写真:岩田えり