近年のNBAではスーパースターの移籍がごく自然なものとなり、ひとつのチームでキャリアを終える選手は珍しい。その意味で、現在のゴールデンステイト・ウォリアーズは他のフランチャイズと一線を画していると言えるだろう。

 在籍15年目のステフィン・カリーを筆頭に、クレイ・トンプソンが13年目、ドレイモンド・グリーンが12年目、ケボン・ルーニーが9年目と4人もの選手が10年前後もチーム一筋でプレー。そんな彼らをコアメンバーとして2015〜22年の間に4度もリーグ制覇を果たすことができたのは、現代NBAでは異例と言っていい。

 カリーが今月14日に36歳となり、トンプソンとグリーンは34歳と、ビッグ3は全員が30代中盤を迎えている。しかしながら、こうしてそれぞれが活躍を続けていられることは、トンプソンにとっても感慨深いようだ。現地時間3月8日(日本時間9日、日付は以下同)、米メディア『Hoops Hype』に公開された記事のなかで、トンプソンは盟友たちについてこう語った。

「ここまでひとつのフランチャイズでキャリア全部を過ごせているのは素晴らしいことさ。ケボン、ドレイモンド、ステフと一緒に分かち合ってきた成功の数々は、信じられないものになっている。それに僕らは今もなおハイレベルでプレーしていて、(それぞれが)偉大さを追求しようとしている。もう最高なことだね」
  カリーとグリーン、アンドリュー・ウィギンズが2025−26シーズンまで、ルーニーが来季まで契約下にいるなか、トンプソンは今季終了後に完全FA(フリーエージェント)となる。34歳のベテランが今季の4321万9440ドル(約63億5325万7680円)という超高額な年俸と同等のサラリーを、新契約として来季以降も受け取ることは厳しいだろうが、リーグのあるエグゼクティブはトンプソンについてこう話す。

「クレイはどこにも行かないだろう。ウォリアーズがそうはさせないさ。4度のチャンピオンであり、彼の代わりなどいない。クレイの価値は2000万ドル(約29億4000万円)から2500万ドル(約36億7500万円)だと見ている」

 その人物は、今夏のFA戦線でトンプソン獲得に関心を持つであろうチームに、デトロイト・ピストンズとオーランド・マジックを挙げていた。

 そのどちらかのチーム、あるいは別のチームがトンプソンに超高額年俸を提示する可能性があることも捨て切れないが、ウォリアーズはスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)も2025−26シーズンまで契約下にあることから、ビッグ3を中心とした布陣でさらに優勝回数を増やすべく、トンプソンは減俸を吞んだうえで再契約を結ぶのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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