女子マラソンのパリ五輪代表争いが決着した。

 3月10日、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジの最終代表選考会である「名古屋ウィメンズマラソン」(バンテリンドームナゴヤを発着点)が開催され、日本人トップは東京五輪1万メートル代表の安藤友香(ワコール)が2時間21分19秒でフィニッシュ。だがパリ切符の獲得条件だった2時間18分59秒の日本記録を上回ることができず、この結果MGC1位の鈴木優花(第一生命グループ)と同2位の一山麻緒(資生堂)、そして日本記録保持者の前田穂南(天満屋)が今夏のパリ五輪代表に内定した。

 レースは序盤から東京五輪代表の鈴木亜由子(日本郵政グループ)、世界選手権ブダペスト大会代表の加世田梨花(ダイハツ)、安藤らが最後の1枠を懸けて日本勢のトップ集団で争った。

 ハーフ過ぎまではお互いを牽制する形で進んでいたが、25キロ過ぎに鈴木が先頭集団から少し離れ出す。30キロでペースメーカーが離脱すると、日本人トップは安藤と加世田がぴったりと走り、鈴木は2人から10秒遅れて追いかけた。

 35キロ通過で安藤が日本勢トップ。8秒遅れて加世田、鈴木は19秒遅れで2人の背中を追走するなか、37キロ手前でアクシデントが起こる。海外招待選手のユニスチェビチー・チュンバ(バーレーン)と先頭を走っていたゴティトム・ゲブレシラシエ(エチオピア)が苦しそうな表情を見せて、1度ストップ。そのあと再開したが、脇腹を抑えるような仕草を見せて再び走るのを止めて、無念のリタイアとなった。
  残り3キロ過ぎにレースは大きく動き出す。安藤がトップを走るチュンバのすぐ後ろに追い付き勝負所を探る。日本人3番手だった鈴木が加世田を抜き去り猛追。16秒差で安藤を追いかけ、加世田は呼吸が荒くペースダウン。鈴木から8秒差で遅れる。

 ラスト1キロ、優勝争いは安藤とチュンバの争いに。ゴール地点であるナゴヤドームを視界に捉えると、安藤がついに先頭を奪取。執念のラストスパートでチュンバを置き去りにして、堂々1位でフィニッシュテープを切った。日本記録を破ることはできなかったが、安藤は自己ベストを更新。驚異的な猛追を見せた鈴木は3位、加世田は4位で終わった。

構成●THE DIGEST編集部

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